ホームビルド・スポーツカー 前編 ロータスにターナー、ロッチデール ほか

公開 : 2021.11.20 07:05  更新 : 2022.08.08 07:21

ターナーMk1(オーナー:デレク・ベントレー

英国中部のウォルヴァーハンプトンにあるガレージで、シングルシーターのレーシングカーを何台か製作したジャック・ターナー氏。1955年になるとFRPボディのスペシャル、ターナー・スポーツを発表した。

ラダーフレーム・シャシーにBMC社製のAシリーズ・エンジンを載せたキットカーとして売られ、特にフェイスリフト後は格好良く仕上がっていた。製造台数は600台以上で、多くが北米へ輸出されている。

ターナーMk1(オーナー:デレク・ベントレー)
ターナーMk1(オーナー:デレク・ベントレー)

後継モデルとなるMk1には、フォードやクライマックス社製のエンジンが搭載されることが多く、軽量化が加えられレースにも頻繁に姿を見せている。

1958年、より手頃な価格でオースチンヒーレー・スプライトが登場。そこでターナーは1960年代に入ると、より洗練されたGTクーペを発表する。しかし多くは売れず、1966年にターナー社は消滅してしまう。

このターナーMk1は、スペシャル・モデルを愛するデレク・ベントレー氏がオーナー。ほかにロッチデール社やフェアソープ社のモデルも複数所有しているという。50年も乗っているロッチデール・オリンピックの走行距離は、56万kmを超えたそうだ。

彼は1981年に、ボロボロの状態でターナーMk1購入。2004年までそのままだったが、オリジナルのスーパーチャージャー付き948ccエンジンを1275ccのツインキャブ仕様へ換装し、走れる状態へ仕上げた。

フランスのル・マン・クラシックへも、Mk1で向かったとのこと。走行距離は伸び続けるだろう。

ロッチデールGT(オーナー:レス・ブラウン)

スペシャル・モデルとしてベーシックなボディ・シェルを販売していたロッチデール社。1956年にフォード用シャシーへの搭載を前提とした、完成度の高いボディを持つスポーツカー、GTを発売する。

スチール製サブフレームを備え、カーブを描くサイドウインドウが付いたドアが特徴。内側もしっかり成形してある。そして何より、見た目が良い。

ロッチデールGT(オーナー:レス・ブラウン)
ロッチデールGT(オーナー:レス・ブラウン)

余計なラインのないスタイリングに、フォルクスワーゲン用のヘッドライトを備え、ファストバック風のリアまわりも整っている。ドライブトレインとのサイズ感も良く、技術を持った人なら、手頃な価格でスマートなクーペを組み立てることができた。

製造台数は数100台といわれ、FRPモノコック・ボディを備える後継モデル、オリンピックの開発資金を捻出している。こちらのキットカーの製造台数は、約400台だった。

レス・ブラウン氏がオーナーのGTは、新しめのランニングギアに交換してある。エンジンは1965年のBMC社製のAシリーズで、シャシーは1973年式のトライアンフGT6用だという。

学校の教師を務めるブラウンは、このGTをエンジンが抜かれた状態で購入。生徒とともに、課外活動の一環でレストアしたそうだ。「わたしより溶接の技術が上達した生徒もいます」。とブラウンが笑顔で話す。

彼は積極的に乗っていて、このスペシャル・デーへも片道550kmの道のりを自走でやって来た。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・テイラー

    Simon Taylor

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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