ホームビルド・スポーツカー 前編 ロータスにターナー、ロッチデール ほか

公開 : 2021.11.20 07:05  更新 : 2022.08.08 07:21

ファルコン・ペレグリン/ファルコン・バミューダ(オーナー:トニー・ソープ/エイドリアン・レヴェリッジ)

スペシャル・モデルが全盛期だった頃、ピーター・ペランディン氏が立ち上げたFRPボディ・メーカーがファルコン・シェルズ社。特にMk2と呼ばれたボディは、ジャガーDタイプを小さくしたような見た目で成功している。

フォード・ポピュラーのシャシーに載った仕様では、走りは今ひとつ。しかし、レン・テリー氏が設計したスペースフレームが提供され始め、コンパクトでシャープなスポーツカーに仕上げることも可能だった。

ファルコン・ペレグリン/ファルコン・バミューダ(オーナー:トニー・ソープ/エイドリアン・レヴェリッジ)
ファルコン・ペレグリン/ファルコン・バミューダ(オーナー:トニー・ソープ/エイドリアン・レヴェリッジ)

1172ccのフォード・エンジンに4シーター・レイアウトを採用したバミューダは、2シーター・クーペのカリビアンGTほど走行性能は高くなく、製造台数は伸びずじまい。だが、見た目はエレガントだ。

1960年代に入ると、手頃な価格のスポーツカーが何台か登場。スペシャル・モデルを手掛けていたファルコン・シェルズ社も他社と同じく、ボディとシャシーなどがセットになった、フルキット仕様のペレグリンを発表する。

フォード105E用のエンジンが前提で、フロント・サスペンションはコイルとウイッシュボーンを備える。リアもリジッドアクスルながら、コイルスプリングで支えている。だが価格はライバルより高く、ペレグリンは2台しか作られなかった。

ファルコン社のキットカーを完成させたオーナーは、ほんの僅か。ライトブルーの1台は、1961年のロンドン・レーシングカー・ショーへ出店された、ファルコン・ペレグリンの1号車。30年後にトニー・ソープ氏が納屋から発見したそうだ。

コスワース・チューニングの105E用エンジンを搭載していたが、今は1.6Lのクロスフロー・エンジンに載せ替えてある。「技術的には非常に高いと思います」。と説明するソープ。現在の交通環境でも、充分に速く乗りやすいと感じるという。

エイドリアン・レヴェリッジ氏がオーナーの赤いバミューダは、自動車エンジニアのレスリー・バラミー氏が設計したLMBラダーフレームを採用した1台。フロントサスペンションは独立懸架式だ。

エンジンはフォードのサイドバルブで、SUキャブレターにはスーパーチャージャーも組まれている。ファイナルレシオは、3.7:1と比較的高い。ステアリングアームにショックアブソーバーを取り付けることで、キックバックを低減させたそうだ。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・テイラー

    Simon Taylor

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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