未来の技術者を育てる「学校」、英国JCBアカデミーとは ビジネス的観点も教育

公開 : 2021.11.06 06:05

インタビュー:アカデミー設立のきっかけは?

JCBの会長であり、JCBアカデミーの名誉フェローを務めるアンソニー・バンフォード卿にインタビューを行った。彼は1975年、父親のジョセフ・シリル・バンフォードが設立したJCBの会長職に30歳の若さで就任。1990年にはナイトの称号を与えられた。

――溶接はできますか?

アンソニー・バンフォード卿
アンソニー・バンフォード卿

「わたしは17歳のときに、溶接、旋盤、フライスなどあらゆる技能の見習いをしました。当時はフランスにいたので、機械関係のフランス語にもかなり精通していました。何十年も溶接をしていないので、かなり鈍っているかもしれません」

――JCBアカデミーを設立するきっかけは何だったのでしょうか?

「エンジニアが不足していたのです。ケンブリッジ大学で工学の学位を取得した後、都会に出てしまう人がいることに苛立ちを感じていました。本当の意味で状況を変えるためには、若い時にエンジニアリングについて人々を刺激しなければならないことは明らかでした」

――どれくらいの頻度でアカデミーを訪れますか?

「それほど頻繁ではありません。数か月に一度くらいでしょうか。彼らがわたしに会いに来ることもあります。最初の頃はもっと関与していましたが」

――同じようなアカデミーを他の場所で開こうと考えたことはありますか?例えば、サンダーランドとか。

「それもいいでしょうが、わたしの本来の仕事は、機器を開発し、製造し、世界規模で販売し続けることです」

――JCBの水素関連の仕事に関わっていますか?

「もちろんです。わたしは水素が未来の燃料であると強く信じています。わたしが最も恐れているのは、ピストンエンジンや内燃機関が禁止されてしまうことです。機械ではなく、燃料を変えなければなりません。今、化学や冶金に詳しい専門家の協力を必要としています。もし、あなたの周りに、このチャレンジに興味をもってくれる人がいたら、ぜひ声をかけてください」

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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