BMW M3コンペティション xドライブへ試乗 訴求力を高める四輪駆動

公開 : 2021.11.09 08:25

姿勢制御が優先の硬いサスペンション

エンジンは力強く、低回転域では僅かにレスポンスへ遅れがあるように感じられるものの、それを過ぎれば意欲的に回転数を高める。8速ATも、滑らかに次々と変速をこなしてくれる。

乗り心地は後輪駆動版と同じく硬い。最もソフトなドライブモードを選択しても、快適性より姿勢制御の方が優先される印象。実際、コンフォート・モードからスポーツ・モードへ切り替えても、サスペンションの衝撃吸収性に目立った違いは生じないようだ。

BMW M3コンペティション xドライブ(英国仕様)
BMW M3コンペティション xドライブ(英国仕様)

印象としては、左右タイヤの個別の動きではなく、垂直方向の動きがタイトになる様子。筆者なら、サスペンションはコンフォートのままにしておくだろう。

もちろん、エンジンの出力特性やステアリングホイールの重み付け、ブレーキペダルの反応なども変更できる。来たるべき、サーキット走行に備えて。

ドライブモードに関係なく、M3コンペティション xドライブは、スポーツサルーンのベンチマーク・モデルといえる、アルファ・ロメオジュリア・クアドリフォリオのように道を突き進む。極めて速く。

アルファ・ロメオのシャシー設定は、一般的な英国郊外の最高速度、97km/h以内でも沢山の喜びを与えてくれる。一方で多くの高性能モデルが楽しめる速度域は、英国の公道で許される数字の上限側にある。

このBMW M3も輝きを増すには、高めの速度が求められる。とはいえ、路面状態が完璧とはいえない条件でも、M xドライブ・システムが控えている。右足の力を躊躇する必要はない。

M3の魅力度をさらに高めるxドライブ

後輪駆動のM3なら安定性が損なわれるような、濡れた橋桁の継ぎ目やタイトコーナーでも、四輪駆動なら遥かに安全。トラクション・コントロールのお世話になることなく、高い能力を保ち続けられる。

気象情報を問わず、急いで目的地を目指すことができる。極めて高次元のパフォーマンス・モデルだ。

BMW M3コンペティション xドライブ(英国仕様)
BMW M3コンペティション xドライブ(英国仕様)

では、BMW M3はM xドライブの獲得で面白くなったといえるだろうか。筆者はそこまでとは思わない。しかし、普段遣いもできるドライバーズカーとしての訴求力を、一層高めていることは間違いない。これからの季節なら、その違いを一層実感できるはず。

2021年に生まれ変わったスーパーサルーンのBMW M3。四輪駆動システムは、その魅力度をさらに高めたようだ。

BMW M3コンペティション xドライブ(英国仕様)のスペック

英国価格:7万8425ポンド(1215万円)
全長:4805mm
全幅:1905mm
全高:1435mm
最高速度:249km/h(リミッター)/289km/h(Mドライバーズ・パッケージ)
0-100km/h加速:3.5秒
燃費:9.9-10.0km/L
CO2排出量:228-231g/km
車両重量:1780kg(予想)
パワートレイン:直列6気筒2993ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:510ps/6250rpm
最大トルク:66.1kg-m/2750-5500rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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