ルノー・ゾエ・バン R110ビジネス+へ試乗 小さなな純EV商用車 欧州で登場
公開 : 2021.11.10 08:25
小さな純EV、ルノー・ゾエ。リアシートを外し荷室とした、可愛い商用車仕様へ英国編集部が試乗しました。
欧州で進む商用車の純EV化
商用車のバンといえば、質実剛健なクルマの代表格。高い動的能力を求められることはないとはいえ、欧州では積極的に純EVへのシフトが進んでいる。乗用車以上に。
理由はシンプル。純EVなら内燃エンジンの商用車と比べて、ランニングコストが抑えられる。また欧州の都市部などでは、一定の環境基準に合致しないクルマに課金が発生する、クリーンエア・ゾーンと呼ばれるエリアも拡大している。
商用車も得意分野とするルノーにとって、見過ごすことはできない時代の変化だ。トヨタ・ヤリス・クラスのボディを持つコンパクト純EVのゾエを、小さな商用車として提供しようと考えても不思議ではない。
果たして販売が始まったルノー・ゾエ・バン。そもそも欧州では、Bセグメントというコンパクト・クラスの商用車は選択肢が少ない。さらに英国では、唯一の純EVモデルでもある。自ずと事業者の関心も高まってくる。
ゾエは、フランス車として独特の魅力を備えるモデルだ。しかし、スタイリングより荷室容量や道具としての機能が求められるバンとして、その実力は充分といえるだろうか。試乗で確かめてみたい。
リアシートを取り外しフラットな荷室へ
AUTOCARの読者なら、過去にルノー・ゾエの試乗レポートに目を通していただいた方も少なくないだろう。商用車のゾエ・バンも、基本的には乗用車仕様のゾエと見た目は大差ない。
ボディサイズはまったく同じで、52kWhの駆動用バッテリーや108psの駆動用モーターも同じ。充電器は最大22kWまで対応し、最短3時間あればフル充電にできる。欧州で一般的な8kWの家庭用充電器なら、9時間半ほど必要になる。
車内のフロントシート側も乗用車仕様のまま。労働環境として、評価できるポイントだと思う。シートポジションは快適だし、トリムグレードも通常のゾエと同等水準のものが選べる。呼び名は、ビジネスとビジネス+に改められているが。
バンとしての違いは、リアシート側。ベンチシートが取り外され、フラットなフロアがフロントシート直後まで伸びている。荷室の荷物が前へ飛び出さないよう、頑丈なメッシュが張られたパーティションも追加してある。
ただし、ルノー・ゾエは小さい。荷室容量は0.51立方メートルに限られるそうだ。最大積載量は387kgとなる。
リア側のドアはそのまま残され、横方向からも荷室にアクセスできる。ただしサイドガラスには不透明なフィルムが貼られている。バンとしての基準を満たすために。