10月の新車販売 過去最低の27.9万台に 各メーカーの下げ幅は?
公開 : 2021.11.02 06:25
10月の販売台数レポート。国産メーカーの新車販売は、統計開始以来のワースト記録に。業界関係者は「復調の下地はある」と話します。
登録車 前年比プラスは三菱のみ
半導体不足をはじめとするサプライチェーンの混乱によって、多くのブランドが減産および生産調整を強いられた日本の自動車業界。2021年10月の国内新車販売台数は、その影響が衝撃的な数字となって表れた。
10月の登録車の新車販売台数は、前年同月比30.2%減の17万6743台と、2か月連続のマイナス(自販連まとめ:速報値)。
また、10月単月としては、これまで最低の2019年の19万2504台を1万5000台以上下回る記録的な少なさとなる。
一方、10月の軽自動車の国内新車販売台数も、同33.2%減の10万2598台と5か月連続でのマイナス(全軽自協まとめ:速報値)。しかも、10月単月で11万台を下回るのは1981年以来、40年ぶりのことだ。
結果として、トータルでの国内新車販売台数は同31.3%減の27万9341台と、4か月連続での前年割れに。さらに統計をとり始めた1968年の27万9643台を下回り、過去最低の数字となった。
登録車の10月のブランド別の新車販売台数では、新車効果が出た三菱自が前年同月比43.7%増(2389台)と、唯一プラスを達成。
また、新型ヴェゼルや新型シビックの受注が堅調なホンダは、同0.8%減(2万6271台)と1ケタ以下のマイナス。
生産ラインの停止が比較的短く済んだスズキは、同3.3%減(7536台)。新型レヴォーグや新型BRZの販売が伸びたスバルは、同2.8%減(5707台)と1ケタのマイナスに抑える。
それ以外のブランドはすべて2ケタのマイナスで、トヨタは同42.2%減(7万9458台)、日産は同13.9%減(1万7061台)。
マツダは同25.8%減(8015台)、レクサスは同25.9%減(2841台)、ダイハツは同70.1%減(1535台)と、大幅な落ち込みを記録。
このうち、マツダとダイハツは5か月連続での前年割れとなった。
軽 日産/スズキが持ちこたえたか
軽自動車の10月のブランド別新車販売台数では、日産のみが前年同月比5.5%増(1万6008台)とプラスを成し遂げる。
一方、ブランド別で首位に立ったのはスズキで、同23.5%減ながら3万4829台を達成して2か月連続でのシェアトップにつく。
首位争いを繰り広げるダイハツは、同45.2%減(3万62台)と落ち込んで、第2位に甘んじた。
また、ホンダは同49.9%減(1万3474台)、三菱自は同7.0%減(3039台)と苦戦。
さらに、OEM供給を受けるブランドも、トヨタが同19.7%減(2364台)、マツダが同36.6%減(1995台)、スバルが同53.9%減(822台)と、すべて2ケタのマイナスを記録した。
今後の展望は?
10月の新車販売に関して業界団体の関係者は、「登録車と軽自動車ともに多くのブランドが減産や生産調整を行い、それに伴う納車スケジュールの遅れや受注残も発生して、結果的に10月の新車販売台数は大きく数字を落とした」と分析。
「半導体不足や部品調達の遅滞を、克服できない事態が続いている。販売を大きく伸ばしそうな新型車を発売しても、納車時期が数か月先という悪い状況にある」と説明する。
今後の展開については、「緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置の解除や新型コロナワクチン接種の進捗に伴ってユーザーの購入意欲は回復基調にあり、合わせてディーラーへの客足やオンラインによる商談も増加傾向にある。また、発表された新型車の初期受注も好調なモデルが多く、年度末に向けて販売台数が復調する下地は十分にある」としている。
また、足もとの課題については、「海外を含めたサプライチェーンの混乱を速やかに抑え、生産体制を通常に戻すこと。主要メーカーは11月以降、減産幅が縮小する見通しを示している」と解説した。