ジャガーXExBMW M235ixアウディS3 同価格帯スポーツサルーン 3台比較 前編
公開 : 2021.11.13 09:45 更新 : 2022.08.08 07:22
レイアウトが生むデザイン上の制限
ボンネットやウエストラインは、ジャガーより高い。フロント・オーバーハングは長い。XEと並ぶと実際以上に全高が高く、幅が狭く見えてしまう。購入者層には受ける形なのかもしれないが、スポーツサルーンの体勢とは感じにくい。
エンジンを横に積んだFFレイアウトを選ぶと、自ずとトランスミッションとフロントタイヤの位置関係が決まってくる。その構造を受け入れて、サイズの小さなサルーンをデザインすることになる。
縦置きエンジンのFRならフロントアクスルは前方に配置でき、パワートレインも低く搭載できるため、ボンネットやウエストラインの高さを抑えられる。3ボックスのサルーンとして、バランスの取れた優雅なプロポーションを作りやすくなる。
S3とM235iは、実際ルーフラインがXEより若干高い。エンジンの搭載位置が低くない都合で、すべての位置を充分に下げることが難しくなるためだ。AUTOCARの読者なら、いわずもがな、かとは思うけれど。
筆者の感覚では、デザインでの苦労をより感じるのはBMW。ボディが豊満で、18インチのホイールは小さく見えてしまう。アウディもラインが少々煩雑な印象ながら、見る角度によってはそれほど悪くはない。
全長が長いこともあり、ジャガーXEは本来望まれるべきサルーンのフォルムを備えている。低くワイドで凛々しい。
デジタルなアウディと、慣れた雰囲気のBMW
ジャガーXEのインテリアは、数年前ならアウディA4を比較相手に持ち出し、知覚品質の不十分さを指摘していただろう。だがマイナーチェンジを経て、大幅に改善されている。
2020年にモデルチェンジしたアウディA3は、インテリアの質感で先代を超えてはいない。デジタル技術による視覚的なアピールと引き換えに、触覚的な体験を犠牲にしていると感じる。
ダッシュボードには、ピアノブラックの黒いプラスティックが沢山。造形は立体的で、3次元ポリゴンのように見える。アウディ流の、近未来を表現するデザインなのだろう。
作りの良い内装パネルやトリム類には、感心させられる。質感で優れた部分も多い。そこに、傷の付きやすそうなプラスティックが、織り交ぜて用いられている。
S3のインテリアが安普請だと感じることはないし、見た目も悪くない。だが、アウディというブランドに期待するほどともいえないと思う。
BMW 2シリーズのインテリアは、より従来のイメージ通り。見た目や肌触りに優れ、使い慣れた、実際に押せるハードボタンも多く採用されている。運転環境はアウディよりシンプルだ。
ただし、試乗車のツートン・レザー内装は好みが分かれるところ。英国では1150ポンド(18万円)のオプションだが、筆者はブラック1色でも充分気持ち良く過ごせそうだ。
ジャガーのインテリアは水準が1つ上。レザーとクロームメッキ、わずかに残るプラスティックという組み合わせは、明らかに上質で高級感が高い。目で見ても、手で触れてみても。
この続きは後編にて。