アウディQ3 1.4TFSI Sライン
公開 : 2014.05.09 22:30 更新 : 2017.05.29 18:18
■どんなクルマ?
現在最も安価なアウディQ3である。つい最近まではその役割は140psを発生する2ℓTDIエンジンとマニュアル・トランスミッションを組み合わせた£25,595(379万円)のQ3が担っていた。£1,725(25万円)も安価になった今回紹介するQ3のエントリー・ガソリン・モデルは ”少し高いな” あるいは ”うーん、ディーゼルなんだよな” などと二の足を踏んでいた読者諸兄にぴったりだ。
ただし、今回テストした1.4ℓのTFSIモデル(ガソリン・エンジン)はSラインであるため車両価格は£26,620(394万円)となる。ちなみにTDIモデル(ディーゼル)のSラインはTFSIより£1,725(26万円)安となる逆転現象が起きる。少し混乱させてしまうようだが、Sラインでもないベーシックなモデルにおいて、1.4TSFIが最も安価なQ3ということである。
1.4ℓのTFSIエンジンは150psを発生し、TDIのそれに比べて馬力は勝る。しかしながら、ご想像通り最大トルクが25.4kg-mであるからTDIの32.6kg-mと比べると劣る。また燃費に関してもTFSIが20.4km/ℓ、TDIが23.1km/ℓとなるため劣勢ではあるが、車両価格の25万円という差異を考慮すればそこまで目くじらを立てるほどの事ではないと考える。ちなみにCO2排出量は両者同じ137g/kmだ。
このTFSIユニットは既にA3に導入されている、アウディとフォルクスワーゲンが共同開発したシリンダー・オン・デマンド(CoD:気筒休止機構)を持っていない。
■どんな感じ?
1.4ℓTFSIエンジンはアウディのコンパクトSUVにはうってつけの組み合わせだと言える。ディーゼル・エンジンと比べて55kg軽量になり、わずかながら軽快な印象を与える。
若干のトルク不足を感じる向きも少なくは無いであろう。しかしながら、(ディーゼルに比べて早めに点灯するガソリンランプと引き換えに)伸びよのよい回転を手にすることができることもガソリン・エンジンならではだ。
抑制したアクセル操作をすれば燃費がそこまで悪化することもないはずである。
エンジンの力不足を顕著に感じるのは発進時だといえる。急発進はあなたの思う以上にアクセルを踏み込む事になるし、さもなければ一度2速にシフト・アップした後に巻き返しを図るほかない。これらの問題はSトロニック・デュアル・クラッチを選択する事によって解決できるけれど、£1,495(22万円)の追加予算を考慮すると、せっかくの価格低下のアドバンテージは消え失せてしまうことになる。
一方テスト終盤で気づいたのは、恐らくは車重の軽減に起因する乗り心地の改良だ。反面、ハンドリングは高速走行ではわずかながら良いものの、市街地では驚くほどに活気に欠けていた。
インテリアは、上級クラスのアウディに匹敵する。美しくたくましいSUVによくある芸術的で強壮な魅せ方をしていないにしても、Q3のQ3たる所以に値するだけのクオリティが保たれている。
■「買い」か?
もしあなたがこの車を強く欲するのであれば、といったところだ。外装から感じ取れる印象ほどキャビンは広くは無いが、あなたがアウディのエンブレムに熱中し、コンパクトSUVを味わってみたいと言うのであれば満足できるはずだ。
ガソリン・エンジンのこの車があなたに相応しいかどうかは、購入後の生活環境に大きく影響される。一度の給油での走行距離はディーゼルに比べてわずかに劣るものの、26万円の価格差はガソリンの量で言うと1136ℓ分になる。別の言い方をすれば、14.9km/ℓの燃費で走行すると16100km分得することになる。
したがって、短距離ユーザーにとっては理想的な一台だと言えよう。
(ティム・ディクソン)
アウディQ3 1.4TFSI Sライン
価格 | £26,620(394万円) |
最高速度 | 202km/h |
0-100km/h加速 | 9.2秒 |
燃費 | 20.4km/ℓ |
CO2排出量 | 137g/km |
乾燥重量 | 1385kg |
エンジン | 直列4気筒1394ccターボ |
最高出力 | 150ps/5000-6000rpm |
最大トルク | 25.4kg-m/1750-3000rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |