なぜ? 黒基調の自動車ディーラー増えたワケ 黒を採用する/しない ねらいは

公開 : 2021.11.07 05:45  更新 : 2021.11.07 08:42

「黒」採用する/しない ねらいは?

ディーラー店舗に独自デザインを採用し続けるボルボも、「店舗、クルマなど、採用するデザインのすべてにおいて『スウェーデンらしさ』が採り入れられている」と説明。

これは、「スウェーデンで唯一の乗用車メーカーであるという強みを生かした戦略」だという(ポルボジャパン・マーケティンググループ製品広報/ローカルマーケティング 長瀬氏)

ボルボカー世田谷
ボルボカー世田谷    ボルボ

どんなジャンルでも、「唯一」という肩書は、他との差別化を図りやすいものである。

そこで、ボルボが「ボルボらしさ」を表現する方法として導き出した答えが、「スウェーデンらしさ」だったのだ。ガラス張りのような店舗の外観は、寒い国であるスウェーデンらしさの象徴として、アイスキューブをイメージ。

透明な摺りガラスを採用することで氷感を表現し、その間に透明なガラスを配置して、寒い外から窓越しに家のなかを眺めているような、スウェーデン家庭の暖かさが表現されている。

そして店舗入り口は、スウェーデンの森林やモダンさを表現。

「店内をすっきりとした印象にまとめることで、主役であるクルマを引き立てる内装とした」という。

さらに店内には、リビングルームと呼ばれるスペースを常備。実際にスウェーデンから取り寄せた什器を配置することで北欧のリビングを演出するなど、店舗のどこを見てもスウェーデンを感じられるデザインとなっている。

これは、ボルボジャパンとしてだけでなく、グローバルでの方針だ。

ディーラー店舗にブラックを採用するメーカーが増えているが、それは「流行」の一言で片づけられるものはない。

それぞれのメーカーのカラーを最大限に表現しようと試行錯誤した結果が、それぞれのメーカーが採用するそれぞれの「ブラック」なのだ。

店舗をブラック基調とするか、しないか、どちらの答えを出したメーカーも、その想いは同じなのである。

ディーラー店舗に採用されている「ブラック」は、ただの黒色ではなく、そのメーカー独自の「ブラック」なのだ。

そう考えると、同じブラック基調のディーラー店舗でも、それぞれのカラーが見えてくるのは筆者だけではないはずである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    先川知香

    Chika Sakikawa

    ツインリンクもてぎで見たMotoGPの一糸乱れぬコーナリングを見て、バイクでのサーキット走行に興味を持ち、モータースポーツの世界へ。乗り物を操作する事の楽しさに目覚め、モータージャーナリストに。愛車はトヨタ86/カワサキZ400/GASGAS TX200。大型自動二輪免許に加え、暇だったという理由で大型一種免許を取得した。
  • 編集

    上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

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