ウェルズ・ヴェルティージュ 試作車へ試乗 フォード製2.0L NAをミドシップ 後編
公開 : 2021.11.16 08:26 更新 : 2024.04.27 23:16
新しい英国ブランドによる、新しいスポーツカーが誕生。量産間際の試作車へ、英国編集部が試乗しました。
もくじ
ー細部まで拘りを感じるパッケージング
ーロータス・エリーゼのように軽い
ーアシストのないステアリングが生む喜び
ーブリティッシュ・スポーツカーの価値を現在に
ーウェルズ・ヴェルティージュ(英国仕様)のスペック
細部まで拘りを感じるパッケージング
ロビン・ウェルズ氏とロビン・ホール氏という2人が開発中の小さなスポーツカー、ウェルズ・ヴェルティージュ。フロントピラーは、量産モデルのように太い。フロントガラスが、頑丈なロールバーで支えられているためだ。
前方視界はとても良く、ジャガーDタイプの運転席からの眺めにも似ている。ボンネットからフェンダーの両端へカーブが伸びる。リアウインドウは小さいが、エンジンカバー後端のリップスポイラー越しに、不満ない視界を得られる。ボディ感覚も掴みやすい。
小柄なボディでも、エンジンの後ろ側に206Lという、それなりの荷室がある。燃料タンクの容量は50Lで、給油口は左右に付いている。見た目も良いし、便利だからだという。一度の給油で640kmほどは走れる計算らしい。
驚くことに、フルサイズのスペアタイヤも積んでいる。ウェルズが重視した要件の1つだった。遠出先で交換したタイヤを、クルマに積んで持ち帰ることができるためだ。
車内のスイッチ類の作りも、シンプルながら良い。シフトレバーは、アフリカ産だというマホガニー材。空気がこもりがちな小さなクルマにはありがたい、フロントガラスのヒーターも付いている。
ダッシュボードの上部にはアルカンターラが張られ、映り込みを防いでいる。中央には、ナビとオーディオ用の、7.0インチ・タッチモニターが据えられている。
ロータス・エリーゼのように軽い
4気筒エンジンはすぐに始動した。このサイズのミドシップとしては、エンジン音が遠くから聞こえるが、ダブルスキンのバルクヘッドが備わっているためだ。
ホールのチームが手作業で仕上げるステンレス・エグゾーストは、アイドリング状態でもサウンドがスポーティ。だが、共鳴するような不要な音は発しない。中回転域で低音域が強く出るようだが、これは解消に向けて改良を続けているという。
クラッチはボディの大きさからすると重たいが、ストロークは丁度良い。ギアをつないで発進させると、バーティジの軽さがすぐにわかる。ロータス・エリーゼのようだ。
シフトレバーは、センターコンソールの高い位置から伸びている。シンプルなリンケージで、直接トランスミッションと結ばれている。レバーのストロークはショート。軽快に次々と変速を決めたくなる。
ただし、センターコンソールの位置の高さには、少し慣れも必要かもしれない。レーシングカーのような、包まれた感じはあるけれど。
ステアリングホイールと、3枚のペダルとの直線的なレイアウトも、ウェルズが拘ったことの1つ。ドライビングポジションは筆者にもフィットし、洗練された量産車と同じくらい運転しやすい。
現代のターボチャージド・エンジンのように、低回転域からパワーがみなぎることはないが、自然吸気の2.0Lエンジンは充分パワフル。素直に回転し、粘り強い。6速でのギア比は、1000rpm当たり41km/hほど。2000rpm以下からでも加速していける。