SUVが売れまくるアストン マーティン 販売の過半数が新型「DBX」 財務健全化
公開 : 2021.11.08 19:05
英国の高級車ブランドであるアストン マーティンは、新型DBXの販売好調もあり財務が健全化しつつあります。
財務を支える大ヒット商品
アストン マーティン初のSUVであるDBXは、同社の財政面を強力に支えており、今年のこれまでの販売台数の50%以上を占めている。
1月以降、アストンは全世界で4250台を販売し、そのうち2186台がDBXだった。セントアサン新工場の生産能力がフルに発揮できていない中での結果だ。
世界販売のうち中国市場が占める割合は、2020年は6%だったのに対し今年は16%と、600%の伸びを示している。
AMG出身のトビアス・ムアースがCEOに就任してから1年余り、同社は「プロジェクト・ホライズン」と呼ばれる変革戦略を順調に進めている。2020年のこの時期と比較すると、累計収益は約3倍に増加しており、現在は7億3640万ポンド(約1130億円)となっている。
しかし、この変革計画の短期的な影響として、第3四半期の債務返済額が劇的に増加している。昨年10月に借り入れた11億ポンド(約1680億円)の多額のローンの利息を返済するため、前年同期比で7900万ポンド(約120億円)から1億3300万ポンド(約200億円)に増加した。
そのため、第3四半期の税引前損失は2020年の8050万ポンド(約120億円)から9790万ポンド(約150億円)に増加している。フィナンシャル・タイムズ紙は、アストンの財務責任者であるケン・グレガー氏の発言として、このコストは「我々が望んでいたよりも高い」ものであり、同社は「おそらく2023年」までこれらの利子の返済を負担することになると伝えている。
しかし、営業損失は2020年第3四半期の6980万ポンド(約105億円)から3020万ポンド(約46億円)へと大幅に減少しており、これについてアストンは「特に第3四半期にブランドおよびマーケティング活動への投資が増加したにもかかわらず、D&Aが増加し、2020年の1300万ポンド(約20億円)の一時帰休金が非適用となった」と述べている。
アストンは、ブランドポジショニングの強化が成長を支えているとしている。その理由の1つとして、新デザインのコンフィギュレーターを発表し、ディーラーへのリード数を3倍に増やしたこと、F1レース中にウェブサイトのトラフィックが急増したこと、10月に公開されたジェームズ・ボンドの最新映画に大きく登場したことなどを挙げている。
また、セントアサン工場に新設された塗装工場では、「効率性と品質の向上」が図られている。半導体不足による具体的な影響については明らかにされていないが、業界を悩ませているサプライチェーンの継続的な問題による「混乱の緩和」に努めている。