ダイムラー ディーゼル車で排出ガス不正か? Eクラスで疑惑、ドイツ環境保護団体主張

公開 : 2021.11.08 19:45

訴訟はダイムラーに有利な判決多数

2つのディフィート・デバイスは、DUHが「エージング・ファクター」と呼ぶ、シャットダウン・デバイスが作動するポイントを下げる仕組みを備えている。この現象は、車両寿命のわずか1%(数千km以内)で発生し、寿命の約20%を過ぎるとさらに低下する。

また、ドライバーが走行モードの1つであるスポーツモードを選択すると、別のディフィート・デバイスが作動し、排出ガスを浄化するために使用するアドブルーの量が減少した。レッシュ氏は、「これは詐欺だと思います」と述べている。

メルセデス・ベンツEクラス
メルセデス・ベンツEクラス

これまでのディフィート・デバイスは、より低温での排出量削減に重点が置かれていた。

DUHの報告書は、国際的な法律事務所であるMilbergから資金提供を受けている。Milbergは、欧州の車両所有者を代表して集団訴訟を主導している。

メルセデスの広報担当者はAUTOCAR対し、に次のように述べている。

「当社の見解では、非常に複雑な排出ガス制御システムの相互作用と全体的な状況において、これらは違法なディフィート・デバイスとして評価されるべきではありません」

「ドイツの地方裁判所および高等裁判所における判決の大部分は、引き続きダイムラーに有利なものとなっています。約95%のケースでダイムラーに有利な判決が下されています。地方裁判所レベルでは、ダイムラーに有利な判決が1万5500件以上もあります。当社に不利な判決は、わずか900件ほどです」

「現在、上位の地方裁判所では、当社に有利な判決が約900件あり、不利な判決は3件しかありません」

「ドイツ連邦裁判所(BGH)でも、いくつかの判決でダイムラーAGの法的見解の重要なポイントが確認されています。特に、BGHは、エンジン・コントロール・ユニットに搭載された許容できないとされるディフィート・デバイスだけでは、損害賠償の請求は生じないと判示しています」

英国では、法律事務所Slater Gordonが車両所有者に対し、損害賠償請求を目的とした集団訴訟への参加を呼びかけている。

フォルクスワーゲン・グループ、ルノー日産ボルボフィアットジャガーランドローバーなどの自動車メーカーは、欧州において、ディーゼル車の排出ガス低減システムの効果を減らそうとしたというクレームに悩まされてきた。

フォルクスワーゲン・グループの不正行為は、2015年9月に米国の規制当局によって暴露され、これまでに300億ユーロ(約3.9兆円)以上の損失を被っている。その影響は現在も続いており、所有者は損害賠償を求めている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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