米EV新興企業リビアン IPO直前に性差別疑惑 元幹部「女性軽視の社風」と批判
公開 : 2021.11.09 18:05
IPOと本格的な市場参入を控えるリビアンは、解雇された元幹部から男性優位の文化があると批判されています。
人事に相談した2日後に突然解雇
米国のEVスタートアップ企業であるリビアンは、販売およびマーケティングの責任者であったローラ・シュワブが突然解雇されたことに関連し、社内には有害な「ブロカルチャー」があると語ったことで、世界的に大きな話題を集めている。
過去にアストン マーティンの米担当社長を務めた経歴を持つシュワブ氏は、ブログ記事の中で、高位の幹部職を突然解雇されたと語っている。彼女によると、リビアンは創業者兼CEOのRJ・スカーリンジ氏を中心とした男性優位の「ボーイズ・クラブ」として運営されているという。
シュワブ氏は11月4日、カリフォルニア州オレンジ郡の裁判所に、解雇をめぐって同社を提訴した。リビアンが彼女の評判を傷つけ、「会社のIPO(新規株式公開)直前に、何百万ドルもの損失を被った」と主張している。
AUTOCARはリビアンにコメントを求めたが、同社はこれまでのところ、株式市場への上場を控えた「沈黙期間」であることを理由に、この疑惑に対して公に回答していない。
シュワブ氏は、ジャガー・ランドローバーに入社して以来、アストン マーティン初の女性社長になるなど20年にわたる自動車業界での経験を持ち、昨年末にリヴィアンに入社した。
リビアンが同社初の量産モデルであるR1SおよびR1Tの生産準備を進めている中で、シュワブは、「女性を疎外し、会社がミスを犯す原因となる有害な社風」を発見したことは「痛恨の極み」であると述べている。
彼女は、リビアンに入社した時点で「約束された1000台の生産開始を成功させるための体制が整っていなかった」ことや、自身の役割である販売・マーケティングに直接影響を与えるトップレベルの取締役会から除外されたと主張している。
彼女によると、リビアンは「トップが男性で占められており、役員には経験が不足している」という。車両価格や製造期限に関する彼女の懸念は、経験の浅い同僚の男性が指摘するまで無視されていたと言われており、彼女はこれを「あからさまな疎外」の事例と考えている。
また、別の女性上級幹部もこうした会議から排除されているという。これは、リビアンが公に謳っている先進的な価値観に真っ向から反している。
シュワブ氏はHRビジネス・パートナー(企業の人事機能の1つ)に社内の「ブロカルチャー」についての自身の認識を説明し、「変化が起こるだろう」と期待を寄せた。しかし、その2日後、彼女はリビアンが言うところの「再編成」の一環として解雇された。
シュワブ氏は、この解雇を「でたらめ」と批判し、人事部に懸念を表明したわずか2日後に解雇されたのは偶然ではないと述べた。IPOと本格的な市場参入を控えたタイミングで、販売・マーケティング責任者を解雇することは、「単に信用できない」としている。
シュワブ氏は、リビアンの文化は「有毒」であり女性を疎外する傾向があるが、これは「彼らに限ったことではない」と語る。リビアンの責任を追及し、他の女性にも職場の文化に疑問を持つことを促すために、自身の体験談を公表したとのことだ。
リビアンは、業界大手のフォードやアマゾンから多額の投資を受けており、テスラにとっても確かな脅威であると広く認識されている。同社のIPOは早ければ来週にも行われる見込みで、情報筋によれば600億ドル(約6.8兆円)の評価額を目指しているという。