ポルシェ・ボクスターGTS
公開 : 2014.05.12 22:50 更新 : 2017.05.29 19:05
■どんなクルマ?
ボクスターGTSは、衝撃的な新しケイマンGTSの兄弟車である。ボクスターSに比べると僅かに高い出力を持ち、大いに高い価格差となる。しかしながら、結果としては大変魅力的なボクスターなのだ。
パワーは330ps、トルクは37.8kg-mまで引き上げられ、PASMサスペンション、スポーツ・クロノ・パッケージ、たまらなくかっこいい20インチ・アロイ・ホイール、スポーツ・エグゾースト・システムは標準装備となり、内外装ともにスタイリングの小変更を受けている。
また、今となってはすこぶる古風なドライビング感覚を味わえる電子制御ダンパーは廃され、代わりに車高が20mm下がるスポーツ・シャシー・オプションが加わった。ちなみにこのオプションはPASMに付随してくる。以前同様にカーボン・セラミック・ブレーキもオプションとして用意されている。
バイキセノン・ヘッドライトと新しい意匠のブラック・テールライトも標準であり、車重は興味深いことにケイマンGTSと同じ1345kgとなる。0-100km/h加速はMTが5.0秒で、PDKが4.9秒。つまりはこれもまたケイマンGTSと同じ結果なのだ。要するにこのボクスター、幌の屋根か否かだけがケイマンGTSとの大きな違いである。
■どんな感じ?
「とても楽しい」それが第一印象だ。わずなデザイン変更にも関わらず見た目の印象は大きくちがう。そして動力性能の再設計は、元来ポテンシャルの高かったボクスターを更に上の、いわば ”天才的な” 領域まで持ち上げたのである。
出力の向上は僅かなものの、車重のダイエットが動力性能を大きく進化させた。同時にたとえ8000rpmまで回さずとも、惚れ惚れするようなエグゾースト・ノートを耳にする事ができるため飛び抜けて速く感じるといった結果だ。
今回筆者がテストしたモデルに組み合わされていたPDK(デュアル・クラッチ・オートマティック・ギアボックス)は申し分なくいい仕事をしたものの、6速MTの方が好ましいのではないかと個人的には感じた。ハンドリング、乗り心地、ブレーキは総合的にブラッシュ・アップされていたが、特にハンドリングに関しては高速時のリア・アクスルによる慣性力の影響を非常に上手く丸め込んでいた。
熱狂的なドライバーの、まさに理想とした仕上がりになっており、路面状況に応じてセッティングを変更できるPASMの影響で乗り心地はしなやかそのものだ。ウインド・ディフレクターのお陰で130km/h程度の走行までは、車内への風の巻き込みがかなり抑えられているのも印象的だった。
■「買い」か?
最高のオープン・スポーツカーを望み、 £60,000(888万円)の車両価格にさほど驚きもしないのであれば「買い」だ。欲張らずに必要なものだけをオプション選択すれば£60,000(888万円)に近い価格に抑えることは出来る。だとすれば、この価格はもはや ”バーゲンプライス” だと言っても過言ではない。
(スティーブ・サトクリフ)
ポルシェ・ボクスターGTS
価格 | £52,879(908万円) |
最高速度 | 282km/h |
0-100km/h加速 | 5.0秒 |
燃費 | 11.1km/ℓ |
CO2排出量 | 211g/km |
乾燥重量 | 1345kg |
エンジン | 水平対向6気筒3436cc |
最高出力 | 330ps/7400rpm |
最大トルク | 37.7kg-m/6500rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |
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