ベントレー・コンティネンタルGT V8 S コンバーチブル
公開 : 2014.05.13 22:50 更新 : 2017.05.29 19:03
■どんなクルマ?
£152,900(2264万円)するこのクルマは、高い能力をもつベントレー・コンチネンタルGTコンバーチブルのハイ・パフォーマンス版である。ここ英国で初のテストを早速行うことにしよう。
先代比+21psの528ps、+2.1kg-mである69.4kg-mのチューンが燃費とCO2排出量を犠牲にせずに達成されている。同系列のエンジンを用いるアウディRS6アバントと、同じくRS7スポーツバックは600ps、71.4kg-mを発生させるものの、このモデルだって0-100km/hまで4.5秒で加速し、最高速度は308km/hだというのだから充分な力の持ち主である事は変わりない。
さらにパフォーマンス向上のために、車高は10mm下げられ、サスペンションとステアリング、8速AT、スタビリティ・コントロールのセッティングはよりシャープに調整された。またフロント・スポイラー、シルの拡大、リア・ディヒューザー等の空力性能向上のための設計も施されたのだ。
標準で、漆黒のパネルに、4人分のシート、幌の屋根、美しい職人技による内装が用意されるが、もしあなたがよりトラディショナルな組み合わせを望むのであれば、恐ろしいほどの数の選択肢から選びなおすことも可能である。また21インチのダブル・スポーク・アロイ・ホイール(テスト車はオプションの21インチ・ホイール)と赤く塗られたキャリパーも標準装備となり、さらにわれわれがテストした車両にはカーボン・ブレーキが奢られていた。
■どんな感じ?
我々は以前よりオープン、クーペともにV8のコンチネンタルを気に入っているが、今回のV8 Sは更に素晴らしい。数値だけを見れば、そこまで大きな違いが無いのではないかという向きがあるかもしれないが、実際に運転してみると非常にパワフルで速く、通常モデルとは比較にならないほどの出来栄えである。
このモデルの進化はエアロダイナミクスとシャシーにも大きく影響する。高速域での安定性とボディ・コントロールを一度味わえば308km/hまでは簡単に到達できるとさえ思わせてくれるだろう。また速度が増せば増すほど乗り心地の良さが増していき、しっかりと地面を掴んでいることが感じられ、低速はもちろんのこと、高速では更に感動させられる。また、路面状態が好ましくない道路でも、驚くほどの身のこなしを披露してくれるのだ。
幌を閉じた状態ではクーペに引けをとらない良さがあり、また特に幌を開けた際に耳に届くエグゾースト・ノートには完全に陶酔してしまう。バラバラと響き渡る音を一度でも聴いてしまえば、£1,860(17万円)のスポーツ・エグゾーストは必ずや選択したくなるはずだ。
玉に瑕なのが2.5トン近くある重量である。もちろんこの車はコーナーを軽やかに抜けていく類のものではないけれど、静止状態からの加速やハイスピードからの減速時にボディを操るのは至難の業だ。カーボンセラミック・ブレーキならば尚更ー特に可変ダンパーをソフトにしているとーノーズダイブを引き起こし、また、スムーズに優しく運転しようとするときでさえ効きが良すぎる結果となった。
■「買い」か?
ベントレーは最低でも553psを誇り、ポルシェGT3の空力特性を参考にする、ホットなV8コンチネンタル・スポーツを世に送り込むことを企んでいるそうだ。ただし、現段階はこのコンチネンタルGT V8 Sがラインナップの中で最も魅力的であるのは間違いない。より満足できるオープンカーをこの価格帯で見つけることは困難を極めるはずだ。
(アレン・ムール)
ベントレー・コンティネンタルGT V8 S コンバーチブル
価格 | £152,900(2,623万円) |
最高速度 | 307km/h |
0-100km/h加速 | 4.5秒 |
燃費 | 9.2km/ℓ |
CO2排出量 | 254g/km |
乾燥重量 | 2470kg |
エンジン | V型8気筒3993ccツインターボ |
最高出力 | 528ps/6000rpm |
最大トルク | 69.4kg-m/1700rpm |
ギアボックス | 8速オートマティック |