日産エクストレイル 1.6dCi 130 2WDテクナ

公開 : 2014.05.13 22:30  更新 : 2021.04.22 13:28

■どんなクルマ?

3代目のエクストレイルであり先代のキャシュカイ+2の後継車種でもある。

新しいキャシュカイとCMFプラットフォームを共有し、外観は殆どそっくりであるが実際に横に並べてみると、全高が105mm、全長が268mmほどエクストレイルの方が大きいことが分かるはずだ。エクストレイルとキャシュカイではセグメント自体も異なっており、エクストレイルは三菱アウトランダーキア・ソレントの類に属する。

日産の思惑を再現するために、先代までの角を残したボディのデザインから、滑らかなラインに置き換えられ、クラシックなSUVよりもむしろクロスオーバーの上をいく印象を与える。

標準では、5人乗り、6速MT、FFの組み合わせであるが、それぞれ£700(10万4千円)で7人乗り、£1,350(20万円)でXトロニックCVT、£1,700(25万2千円)で4WDにアップグレードすることが可能だ。

グレードは下から上へ、ヴィシア、アセンタ、n-テック、テクナの順に展開され、価格帯は5人乗りFFのヴィシアの£22,995(341万円)から始まり、7人乗り4WDのテクナの£31,695(469万円)までとなる。使用されるエンジンは現時点でルノーと日産が共同開発した130psの1.6ℓdCiのみであるが、来年には163psの1.6ℓDIG-Tエンジンが追加される予定だ。

■どんな感じ?

われわれがテストしたのは、包括的な装備が用意された£29,995(444万円)の前輪駆動のテクナだ。

もしあなたが、自動パーキング機能や、シート・ヒーター、フロント・サイドビュー・モニター、サイド・ブラインド・モニター等の運転アシスト機能を望まないのであればn-tecバージョンで充分に満足できるはずだ。19インチのアロイ・ホイールや、スマートフォン接続、グーグル検索、DABチューナー、緊急回避ブレーキ等を望むのであればテクナが選択肢となるだろう。

ドライバーズ・シートに座ると、そこには日本車の典型ともいえるダッシュボードが広がる。近づきがたいボタン群に7インチのタッチス・クリーン、オンボード・コンピューターを表示するためにステアリングのボタンで操作できるTFTモニターが密集している。

ディーゼル・エンジンが発する特有の音は巧妙に丸め込まれ、キャビンにはほんの少しの振動しか入って来ない。またギア・レシオの設定も実に素晴らしい。市街地の試乗では、それなりのボディ・サイズであるにも関わらず、見晴らしの良いシート位置とパワー・ステアリングの的確なアシスト量のお陰で、とても運転しやすいかった。シフト・チェンジの感触も気持ちよく、高速道路でも落ち着いた挙動を見ることが出来た。

210mmの最低地上高は、オフロードでもとても安心して乗ることを可能にし許容力の大きさが感じられた。もちろんニュルブリンクのトップ・タイムを競うためのクルマではないけれど、アクセスを踏み込んでコーナーの多い峠道を走れば、スタビリティ・コントロールが的確に介入してくれ、終始安定した運転ができた。

仮にESPをオフにして山坂道を追い込んだとしても、手に負えないと言う印象をもつことはないはずだ。

7人でこのクルマに乗り込んで、長旅をする場合には皆が満足できる乗り心地だと言って良い。真ん中の列を少し下げれば、足元の余裕は充分に広がるが、その際3列目の乗員は苦しい状況になりそうだ。

■「買い」か?

7人乗り且つ、質の高いクロスオーバーをお望みならばベストな選択肢だ。

完璧なロード・マナーやオフロードでの懐の深さ、競争力のある価格を目にすれば、どうしてドイツの同価格帯の車を選ぶ必要があろうかとさえ、思うかもしれない。

ただし動力性能まで求めるならば。やはり他を探す必要があるだろう。

(フランシスコ・モタ)

日産X-トレイル1.6dCi 130 2WDテクナ

価格 £29,995(515万円)
最高速度 190km/h
0-100km/h加速 10.5秒
燃費 20.4km/ℓ
CO2排出量 129g/km
乾燥重量 1500kg
エンジン 直列4気筒1598ccターボ・ディーゼル
最高出力 130ps/4000rpm
最大トルク 32.6kg-m/1750rpm
ギアボックス 6速マニュアル

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