なぜ? 10月新車登録台数 ロードスター/デリカD:5/オデッセイ 意外な車種が健闘したワケ

公開 : 2021.11.14 05:45

スバル 脅威の伸び率叩き出す

オデッセイは年内で製造を終了することが決まっている。

そのため「オデッセイが欲しい」という人たちがこぞって購入しているのである。

ホンダ・オデッセイ
ホンダ・オデッセイ    ホンダ

そのなかには「いつかオデッセイを買おうと思っていた」という人のほか「オデッセイを所有して気に入っているから、買えるうちに新車へ乗り換えておこう」という買い替えユーザーも少なくないだろう。

オデッセイは現在のところ国内向けでは最も大きなサイズのミニバンだが、販売終了は、ホンダから国内向けの大きめのミニバンが消えることを意味する(ただし時間をおいて後継モデルが登場する可能性はある)。

しかし前年同月比といえば、この10月にはもっと驚くべき数字が出た。

「6028.6%」や「5368.2%」というとんでもない記録だ。実はどちらもスバルで、前者は「BRZ」、後者は「レヴォーグ」だ。

勘のいいひとはお気づきだろう。どちらも1年前の販売台数は新型販売前で、今年10月の販売台数はフルモデルチェンジを迎えてのものだ。

BRZが1266台、レヴォーグは1181台と販売台数自体はどちらも目を見張るものではなく、単に前年同月と比べて驚異的に伸びたということに過ぎない。

とはいえ、データを見るうえで非常に興味深いものだ。

一方で、フルモデルチェンジどころかマイナーチェンジや大きな改良をしたわけではないのに前年同月比の数字が伸びている不思議なモデルもある。

マツダ「ロードスター」、三菱「デリカD:5」、日産リーフ」、そして日産「マーチ」だ。一体何が起きたのか?

ロードスター/D:5の伸び 社会情勢反映

そのうち、前年同月比「146.6%」となる541台を販売して46位となったロードスター、そして164.8%の1480台を販売して27位となったデリカD:5は現在の社会情勢を反映しているといわれている。

それは「コロナ禍」だ。

三菱デリカD:5
三菱デリカD:5

どうしてコロナだとロードスターが売れるのか?

スポーツカーやスーパーカーの売り上げが伸びているのは世界的な傾向だ。

その背景にあるとされているのは、旅行にも行けず、外食で贅沢もできず、お金が余っている層が趣味のクルマを買い足すから。

何を隠そう、ロードスターは新型コロナウイルス感染が拡大してから、北米でも大きく売り上げを伸ばしている。

一方でデリカD:5の販売が伸びたのは、同じコロナ禍の影響でもロードスターとは少し異なる。

日本のみならず世界的に、「密」を避けての爆発的なアウトドアブームが起こっていて、「アウトドアレジャーに都合のいいクルマ」として買い替えもしくは新規購入時にデリカD:5を選ぶ人が増えていると考えられる。

たしかにSUVとミニバンの特徴を兼ね備えるデリカD:5は唯一無二の存在。

とはいえそれがコロナの影響で売り上げを伸ばすとは。

まさに「風が吹けば桶屋が儲かる」的な図式が目の前で起きているのだ。

残りの日産2台は、リーフが前年同月比138.4%で922台。マーチは121.2%で572台を販売した。

リーフはもしかすると、日本でもジワジワとEVの波が来ているのかもしれない。

しかしマーチに関しては、販売が伸びた理由はまったく見当がつかない。

しかし、ときにはそういった販売増加の理由が不明なクルマもあるのが新車販売データなのである。

こうしてチェックしてみると、新車販売データはしっかりと社会を反映しているのが面白い。

記事に関わった人々

  • 工藤貴宏

    Takahiro Kudo

    1976年生まれ。保育園に入る頃にはクルマが好きで、小学生で自動車雑誌を読み始める。大学の時のアルバイトをきっかけに自動車雑誌編集者となり、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。はじめて買ったクルマはS13型のシルビア、もちろんターボでMT。妻に内緒でスポーツカーを購入する前科2犯。やっぱりバレてそのたびに反省するものの、反省が長く続かないのが悩み。
  • 編集

    上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

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