世界で最も奇抜なクルマ 48選 前編 「変わり者」のレッテルを貼られた名車・珍車

公開 : 2021.11.20 06:05

シトロエンC6

フランス人は良い大型車を作れないと言われている。ただし、たまにはできることもある。シトロエンC6は素晴らしかった。重いディーゼルエンジンではなく、ガソリンエンジンを搭載したモデルであれば非常に快適で、室内は驚くほど広く、乗り心地も驚異的だった。

しかし、C6には、この種のクルマを買う人の多くがこだわる「ドイツ製」という重要な要素が欠けていた。

シトロエンC6
シトロエンC6

シトロエンDS

DSは、未来的なボディ形状、セルフレベリング・サスペンション、高いリアインジケーター、現代のF1マシンとほぼ同じ数の油圧作動部品、そして後には指向性ヘッドランプを備えていた。その20年間に渡る生産は1975年に終了した。

DSを「変わり者」と表現するのは正しくもあり、不公平でもある。むしろ、複数の点で他のメーカーが追いつけなかったクルマと言った方がいいかもしれない。

シトロエンDS
シトロエンDS

フェラーリFF

フェラーリはこれまで、正確に「ワゴン車」と呼べるようなモデルを販売したことはないが、2011年から2016年にかけてのFFは、それに近いものがあった。しばしばシューティングブレークと呼ばれるFFは、驚くべき実用性(リアシートを倒すと800Lのラゲッジスペースが確保される)と、フロントに搭載された6.3L V12エンジンの咆哮、4輪駆動、320km/hを超える最高速度を兼ね備えていた。

それはとても良いことだが、エレガントさを求めるのであれば、他のモデルを選ぶことをお勧めする。

フェラーリFF
フェラーリFF

フィアット500ツインエア

2007年にデビューした500は、ここ10年ほどの間にレトロなクルマが多く登場したこともあり、特に異彩を放つ存在ではなくなっている。しかし、ツインエアは別物だ。875ccエンジン(フィアットが開発したマルチエア技術を使って、一から設計されたユニット)は、1980年代にシトロエンLNAが廃止されて以来、欧州の主流自動車に搭載された初めての2気筒エンジンだ。

何よりも、アイドリング時にまるでゴロゴロと喉を鳴らしているかのように聞こえることが、言葉にできないほどの可愛らしさを生んでいるのである。

フィアット500ツインエア
フィアット500ツインエア

フィアット・ムルティプラ

初代ムルティプラは、フィアット600を6人乗りにしたもので、とても奇抜なデザインであった。1998年に発表された新型のムルティプラも同様だったが、より社交的な座席配置(3人がけの2列シートで6人乗り)や、フロントエンドのクランプルゾーン(衝突時の衝撃吸収用スペース)など1950年代には全くなかった利点を備えている。

このフロントデザインには賛否両論があった。フィアットは最初の数年間こそ自身の主張を貫いたが、2004年には方針を撤回し、率直に言って記憶に残らないようなありふれたデザインに変更した。

フィアット・ムルティプラ
フィアット・ムルティプラ

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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