世界で最も奇抜なクルマ 48選 後編 「変わり者」のレッテルを貼られた名車・珍車

公開 : 2021.11.20 06:25  更新 : 2021.11.20 11:28

ミニ・クラブバン

ミニは、新しい市場分野に進出しても、想定より顧客が少なく、すぐに撤退してしまうことがある。そのため、クーペ、ロードスター、ペースマンの寿命は短かった。もう1つ例として挙げられるのは、いまのところミニブランドで唯一の商用車となっているクラブバンである。初代クラブマンにリアとサイドのウィンドウを付けず2人乗りにしたもので、バンとしては室内空間が狭く、フロアの高さも不便であった。

しかしBMWは、ケータリングやイベントの企画者、カメラマンなど、小さな荷物をたくさん運ぶ必要のある人たちにアピールできると期待していた。残念ながら、このプロジェクトに見合うだけの数の人々がクラブバンを購入することはなかった。

ミニ・クラブバン
ミニ・クラブバン

ナッシュ・メトロポリタン

ナッシュ・メトロポリタンほど、1950年代の米国車のステレオタイプを覆すものはない。ナッシュ・ケルビネーター社が設計し、英国のオースチンが製造したメトロポリタンは、とても小さいクルマだった。全長は4mに満たず、1.5L以上のエンジンは搭載されなかった。

米国でも他の市場でも、大きなインパクトを与えることはできなかったが、8年間も生き残ることができるほどの人気を誇った。

ナッシュ・メトロポリタン
ナッシュ・メトロポリタン

日産キューブ

キューブは、奇抜なものが好きな日本では特に奇抜さを感じさせないクルマだった。しかし、3代目が欧米で発売されるやいなや、変わり者の地位を獲得した。

しかし、その魅力は日産が期待していたほどには西洋に伝わらず、日本ではその後も何年も売れ続けたが、欧米ではあっという間に生産中止になってしまった。

日産キューブ
日産キューブ

プジョー1007

プジョーの小型MPV(ミニバン)で、スライドドアを持つこのクルマは、一見するとちょっと変わっているが、とても便利そうなクルマに思えた。しかし、重い上に2006年当時で1万5000ポンド(約230万円)以上と高価で、前席のシートベルトは背の高いドライバーでも届かないほど後ろに取り付けられていた。

マジックテープで取り付けられたトリムは、色違いのものと簡単に交換できるという特徴があったが、問題を補うには十分ではなかった。販売は低迷し、プジョーの顧客は一般的な小型ハッチバックに流れ、1007は5年後の2009年に廃止となったのである。

プジョー1007
プジョー1007

ポンティアック・アズテック

アズテックはクロスオーバーSUVであり、多くの点でむしろ良いクルマであった。買った人はおおむね気に入っていたが、問題は、ほとんど誰も買わなかったことだ。

買ってもらえなかった理由は、見た目がとても奇妙だったからだ。大手メーカーが販売したクルマの中で最も醜いクルマの1つとよく言われ、2005年に生産中止になった今でも、そのレッテルが剥がれていない。

ポンティアック・アズテック
ポンティアック・アズテック

特筆すべきは、中身はほぼ同じ車種でありながら、よりオーソドックスなスタイリングを持つビュイック・ランデブーの販売が、事実上3対1でアズテックを上回ったことだ。アズテックの12万台に対し、ランデブーは31万6000台が売れた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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