トヨタGR86とスバルBRZ 公道で比較 誰でも乗ればすぐわかる味付けの差

公開 : 2021.11.18 11:30

GR86/BRZ こんなに違うのか?

まず、スバルBRZの6MTに乗った。

すでに各方面で記事化されているように、乗りやすく、普段使いに良いと感じる。

スバルBRZについて筆者(桃田健史)は「雑味(ざつみ)がない」とコメントする。
スバルBRZについて筆者(桃田健史)は「雑味(ざつみ)がない」とコメントする。    宮越孝政

ひとことで言うと、疲れない。

正確には、2ドアスポーツカーとしては、疲れにくい。

別の言い方をすると、雑味(ざつみ)がない。

時計の針を少し戻すと、2012年2月の初代BRZ発表前に、ツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)でインフィールドでおこなわれた一部報道陣向け試乗会での第一印象は、「まるで四輪駆動車のように物凄く走行安定性が高いFR」という高評価。

反面「フロア振動など様々な部分での雑味がもう少しなくなるとクルマの質感が上がるはずだ」というものだった。

それから初代は段階的に改良を重ねていったが、雑味という観点では、新型は初代後期と比べて明らかに大きく解消している。

プラットフォームとして見れば、他のスバル車のようにグローバルプラットフォームへの刷新ではなく、初代を改善しているのだが、走りの質感は一気に上がっている。

こうして一般道路で走らせると、それを強く感じる。

試乗を終えたメディア関係者からは「軽いと表現される方が多い」(スバル車体開発担当者)という。

アクセルワーク、ブレーキング、ステアリングの切り出しなど、スッキリ感が強く、それが「軽さ」という表現につながるのだと思う。

一方、GR86は……。

トヨタGR86、GRらしくあれ

トヨタGR86は「攻めたクルマに仕上がっている」という印象を強く持った。

一般道路での2速から3速で走行する速度域では、BRZに比べて明らかにサスは硬く感じる。

トヨタGR86は「攻めたクルマに仕上がっている」という印象を強く持ったと筆者。
トヨタGR86は「攻めたクルマに仕上がっている」という印象を強く持ったと筆者。    山本佳吾

また、アクセルレスポンスがかなりクイックなECUマッピングになっていることを痛感した。

BRZで2速のところを3速、また3速のところを4速で走りたくなった。

また、ハンドリングでは、BRZでは少ない舵角でスゥーとコーナーの内側に入っていくのに対して、GR86はしっかり操舵して、さらにアクセルを踏み込んでクルマ全体をしっかり旋回させたくなるセッティングであることがわかった。

ワンメイクレースやラリーなど、モータースポーツのベース車としては当然の仕上げ方なのだと思う。

試乗後、意見交換したトヨタ関係者は「スポーティカーではなく、スポーツカーを作った」と言い切る。トヨタとしてのGRらしさを表現したかたちが、この走り味なのだ。

この後、GR86のATにも試乗したが、ECUマッピングはBRZと共通で、またMTより若干の重量増が奏功して、上質スポーツカーを日常的に気軽に味わえる出来栄えだと感じた。

GR86とBRZは、かなり性格の違う兄弟である。

その違いを、ユーザーは販売店での短時間の試乗のなかでも十分感じ取れると思う。

是非、2車の比較試乗をお勧めする。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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