アウディA8 L 60 TFSI 欧州向けV8ツインターボ版へ試乗 上位クラスに君臨 小変更

公開 : 2021.11.28 08:25

これ以上必要ないほど強力なV8ツインターボ

V8ツインターボ・エンジンは素晴らしい。S8では更にパワフルなチューニングが与えられるものの、A8 60の459ps以上が必要だというドライバーを、想像するのが難しい。

エグゾーストからは、V8エンジンらしいビートが心地よく響いてくる。平然と、強力な加速を与えてくれる。トランスミッションは8速AT。まったく変速を知覚できないほど滑らかに処理し、とても快適な加減速を叶えてくれる。

アウディA8 L 60 TFSI クワトロ(欧州仕様)
アウディA8 L 60 TFSI クワトロ(欧州仕様)

ただし、0-100km/h加速の時間はPHEV版のA8と同値。V6エンジンと電気モーターの組み合わせは、V8エンジンほど聴き応えのあるサウンドを聞かせてくれないものの、カンパニーカーとしては正しい選択だろう。

インテリアの変更は控えめ。インフォテインメント・システムには新しいソフトウェアがインストールされていても、Sクラスのように巨大なモニターがダッシュボードに広がっているわけではない。

とはいえ、2段重ねの中央のタッチモニターは、しっかりハイテク感を漂わせている。実際に触れてみると、操作性も良い。従来的なシフトレバーは、モニターへ触れる際に腕を支えるポイントにもなってくれる。

インターフェイスの配置やグラフィックは素晴らしく、レスポンスも速い。エアコンの操作パネルは、実際に押せるハードボタンほど直感的ではないものの、充分扱いやすい。ステアリングホイールには、ハードボタンがまだある。今となっては小さな喜びといえる。

世界の上位クラスに君臨する1台

試乗車はA8のLで、ロング・ホイールベース版。当然ながら、リアシート側の空間は広大だった。思う存分くつろげる。荷室容量も大きく、長距離旅行の沢山の荷物も問題なく積み込めるだろう。

登場から4年が経ち、フェイスリフトを受けたA8。最新のSクラスほど乗り心地に優れるわけではないし、運転のしやすさでも及ばないかもしれない。だが不足ないほど現代的で、価格もライバルモデルのなかでは安価な部類に入る。技術的な面白みもある。

アウディA8 L 60 TFSI クワトロ(欧州仕様)
アウディA8 L 60 TFSI クワトロ(欧州仕様)

伝統的なリムジンを必要としているなら、アウディA8は有力な選択肢のまま。世界の上位クラスに君臨するモデルであることは、スペック表の数字を見ずとも明らかだ。

アウディA8 L 60 TFSI クワトロ(欧州仕様)のスペック

価格:−
全長:5302mm
全幅:1945mm
全高:1485mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:9.2km/L
CO2排出量:246g/km
車両重量:2224kg
パワートレイン:V型8気筒3996ccツイン・ターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:459ps/5500rpm
最大トルク:67.4kg-m/1850-4000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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