フィアット128xフォルクスワーゲン・ゴルフMk8 元祖と定番の前輪駆動 後編
公開 : 2021.11.27 09:46 更新 : 2023.09.21 08:30
現代的なFFレイアウトの元祖といえば、フィアット128。最新FFハッチバックのゴルフと英国編集部が乗り比べしました。
驚くほど共通点の多い2台
44年間にもたらされたデザインや技術的な進化によって、その時期のファミリーカーといえるフィアット128とフォルクスワーゲン・ゴルフの2台には驚くべき違いがある。クルマの見た目にも、端的に表れている。
イエローの8代目ゴルフは、1.4Lの4気筒ターボ・ガソリンエンジンに、駆動用の電気モーターが組み合わされたeハイブリッドと呼ばれる仕様。システム総合で203psの最高出力を発揮する。実に、フィアット128が生み出す60psの3倍以上だ。
車重はゴルフが1590kgで、128が823kgと、倍近い差がある。重さ当たりの馬力、パワーウエイトレシオは127ps/t対74ps/tで、ここにも小さくない開きがある。
ボディサイズを比べると、ゴルフは128より428mmも長く、200mmも幅が広い。初代ゴルフから動力性能だけでなく、安全性や利便性なども大幅に向上していることは、いうまでもない。古いイタリア車との違いは、より歴然だ。
しかし、8代目へ進化したゴルフにも、バラバラにされ分析されたフィアット128のドライブトレイン・レイアウトが継承されている。直列4気筒エンジンとトランスミッションが横向きに搭載され、前輪を駆動している。
フロント・サスペンションは、マクファーソンストラット式だし、ドライブシャフトの長さも左右で異なる。ラジエターがフロントグリルの後ろに置かれ、電動ファンがエンジンの温度に反応して作動する。
フロント・ブレーキはディスク。ステアリングラックは、ラックアンドピニオン式。なんと技術的な共通点が多いことか。
好感触な128のステアリングフィール
最新のゴルフであっても、改良が施されてはいるが、フィアット128が具現化したフロントエンジン・フロントドライブ(FF)の雛形へ驚くほど則っている。だが、時代的な違いももちろんある。
128のリア・サスペンションは独立懸架式だが、ゴルフの廉価グレードにはトーションビーム式が採用されている。高いコーナリング性能を求めなければ、スペース効率というメリットがある。試乗車は上級グレードで、独立懸架のマルチリンク式だったが。
またeハイブリッドとして、エンジンとデュアルクラッチATの間に駆動用の電気モーターが存在する。それでも、横向きで並んでいることに変わりはない。
大きさも最高出力も異なる2台だが、運転した感覚は同じ直線上にあるといえる。しかし類似点より先に、動力性能の違いへ真っ先に気持ちが奪われてしまうけれど。
フィアット128がFFであることは、乗ってすぐに感じ取れる。パワーアシストが付かないが、ステアリングホイールの操舵感は重さが丁度いい。切り込む角度に関わらず、即座にフロントが反応してくれ、印象はとてもポジティブだ。
BMCミニほどの、間髪入れないゴーカート・フィーリングではないが、それに近いステアリング精度を備えている。グリップ力が高く、直進時の安定性も高い。FFモデルとして特徴的な走り味を体現している。