BMW 2シリーズ・クーペ M240i(G42型)へ試乗 FRキープのモデルチェンジ 前編

公開 : 2021.11.27 08:25

内燃エンジンにFRレイアウトを固持した、BMW 2シリーズ・クーペ。高性能なM240i xドライブを英国編集部が評価しました。

3シリーズと同じCLARプラットフォーム

執筆:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
BMWによれば、モデル・ラインナップのなかで、2シリーズは間違いなくニッチ(隙間的)なポジションなのだという。素晴らしいコンパクト・スポーツクーペに魅了されてきた人にとって、存続を不安視させる発言ではある。

一般的に、世界的な自動車の量産メーカーは、できるだけ多くのクルマを売りたいと考えている。多くの販売が見込めないモデルへ、限りあるリソースを回すことは珍しい。

BMW 2シリーズ・クーペ M240i xドライブ(欧州仕様)
BMW 2シリーズ・クーペ M240i xドライブ(欧州仕様)

ご存知のとおり、コンパクト・ハッチバックの1シリーズは、フロントエンジン・フロントドライブ(FF)へ切り替わった。2シリーズ・クーペは、BMWとしては唯一のフロントエンジン・リアドライブ(FR)を採用した、コンパクトモデルになっていた。

現在のBMWは非常に多様なSUVを展開することで、経営の屋台骨を構成している。しかし、近年のブランドイメージを牽引してきたモデルの1つが、2シリーズ・クーペだったことは間違いないだろう。レースカーのプッシュトゥパス・ボタンのように。

本来、2シリーズ・クーペは、1シリーズ・クーペから派生したモデルだった。ところが1シリーズのプラットフォームが変更され、結びつきは絶たれていた。そこでG42型の2シリーズ・クーペは、3シリーズや4シリーズとの結びつきを持つことになった。

ひと回り大きいCLARプラットフォームをベースとすることで、FRというレイアウトをキープ。BMW謹製の3.0L直列6気筒ガソリン・ターボエンジンを、高性能仕様へ搭載することも可能としている。どちらも歓迎したい内容だといえる。

FRのレイアウトに3ボックス・フォルム

新しい2シリーズ・クーペが、自動車を愛する技術者によって生み出されたことを示す事実でもある。先代の2シリーズ・クーペの販売では、大部分がM240iやM2という熱々の高性能仕様が占めていたということを考えれば、非常に理にも適っている。

G42型の英国での販売は、2022年初頭から始まる見込み。ガソリンエンジンの220iとディーゼルエンジンの220d、四輪駆動のM240i xドライブの3種類が、当初導入されるという。

BMW 2シリーズ・クーペ M240i xドライブ(欧州仕様)
BMW 2シリーズ・クーペ M240i xドライブ(欧州仕様)

英国価格は順に、3万4980ポンド(約538万円)、3万6900ポンド(約568万円)、4万5795ポンド(約705万円)に設定された。今回試乗したのは、最も値が張るM240i xドライブで、最高出力374psを発揮する3.0L直列6気筒を搭載する。

期待のM2は、2023年に導入予定だという。それまでは、このM240i xドライブが2シリーズ・クーペのトップグレードに位置する。

CLARプラットフォームをベースとすることになったG42型2シリーズ・クーペだが、見た目は写真のとおり見慣れたもの。エンジンルームとキャビン、トランクが別れたクラシカルな3ボックス・フォルムを維持しており、われわれのイメージ通りだと思う。

全体的に、従来より抑揚の強いスタイリングが与えられている。キドニーグリルは横へ大きくなり、古くからのBMWファンは眉をひそめるかもしれない。とはいえ近年のBMWとしては、抑制の効いた処理ではあるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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