ホンダ自動運転レベル3、3日間体験してみた 「ホンダ・センシング・エリート」先進技術の1歩
公開 : 2021.11.24 05:45 更新 : 2021.11.24 08:18
トヨタより積極的な車線変更
まずは、ドライバーの意思による自動の車線変更から試した。
ウインカーを右折側に軽く押すと、隣の車線の状況をミリ波レーダーやライダーセンサーが感知して、システムが安全だと判断すると、自動で車線変更する。
以前の各社モデル乗り比べで感じたのは、ホンダ・センシング・エリートは、トヨタのアドバンスドドライブに比べると、積極的に車線変更をするという点だ。
また、ハンズオフの状態で、システムが判断して追い越しをかけるシーンもあった。
これは、同一車線で前方のクルマとの車速差がある場合、自動で車線変更し、追い越した後に再び元の車線に戻る機能だ。
ただし、これはかなり周辺のクルマの数が少ない状況にならないと体験できず、多くの場合は前方のクルマに対して同一車線で減速して、追従するにとどまった。
いったん追従して前方のクルマとの車速差が少なくなると、システムがあらためて自動追い越しをかけることはない。
また、システムによる判断で自動で追い越し、再び元の車線に戻ろうとした際、路肩では工事をおこなっており、作業車や作業員がいたが、路肩内での作業であったため、減速度合いが高まるとか、車線変更をとどまるような動きはなかった。
今後は、こうしたリアルタイムでの道路状況を加味した情報収集システム導入が望まれる。
約500km走行 レベル3の実際
結局、目的地である甲府南インターチェンジまでトラフィックジャムパイロットが作動する30km/h以下の渋滞は発生せず、レベル2のハンズオフでの快適ドライブだった。
この日、甲府では山梨県がJリーグと連携し、ホンダとトヨタが参画した水素社会に向けた訴求イベントを取材した。
トヨタの燃料電池バスから電力を取り出し、ホンダの小型バッテリーのモバイル・パワー・パックに振り分ける、電気のバケツリレーを実演した。
イベント取材の後、静岡県内を目指し、また神奈川県内を通過するという3日間の移動工程だった。
途中、何度かレベル3を体験したが、レベル3で可能な行為はカーナビの注視や、DVDの視聴などに限られており、飲食、スマートフォンの操作、またシートを倒しての休憩などはホンダの自主規制によって事実上NGである。
レベル3はシステムが運転の主体になることで、上記のようなセカンダリーアクティビティが可能になるという法律上の整理がある。
だが、実際にはそこまでは許容されていないのが実状だ。
肝は、クルマとインフラとの間での、より一層のデータ連携にある。
都合約500km、じっくりホンダ・センシング・エリートを味わった感想は、当然のことながら「疲れが少ない」ということ。
各種スイッチのセッティングにも丸1日乗っていれば、自然に慣れる。