誰も知らないスーパーカー 50選 前編 ひっそりと消えた不運な珍車・名車

公開 : 2021.11.27 06:05

イスデラ・インペラートル(1984年)

1978年に発表されたコンセプトカー「CW311」は、6年の歳月をかけて製作されたが、市販化の予定はなかった。そのため、CW311のデザイナーであるエバーハルト・シュルツが、イスデラというブランドを使って自ら生産を開始した。

彼はこのスーパーカーを「インペラートル」と名付け、5.0L、5.6L、6.0LのV8エンジンを搭載し、最高出力390ps、最高速度283km/hを実現した。

イスデラ・インペラートル(1984年)
イスデラ・インペラートル(1984年)

生産は1993年にイスデラが倒産するまで続いたが、その間に30台のインペラートルが世に送り出された。今でも時々、40万ポンド(約6000万円)前後で売りに出される。

チゼータV16(1989年)

スーパーカーの極限ともいえるモデル。5995ccの16気筒エンジンを横置きでミドシップ搭載しているのだから、幅が広いのも不思議ではない。

最高出力568psを8000rpmという驚異的な回転数で発揮し、64個のバルブを駆使してフル回転させたときのサウンドは畏敬の念すら抱かせる。V16Tは最高速度328km/hに達すると言われていたが、公式にテストされていないので、誰にもわからない。

チゼータV16(1989年)
チゼータV16(1989年)

1989年にプロトタイプが完成したにもかかわらず、納車が始まったのは1992年、生産が終了したのは2003年だった。

ジオット・キャスピタ(1989年)

1989年にジオットが発表したキャスピタは、「サーキットに行き、レースに出て、そのまま帰宅する、そんな生活ができるクルマ」と謳われていた。

当初はフォーミュラ1用のV12エンジンをデチューンしたものを搭載していたが、1990年にはジオット製のV10を搭載。どちらも320km/h以上のスピードを出すことができるとされたが、顧客の手に届くことはなかった。

ジオット・キャスピタ(1989年)
ジオット・キャスピタ(1989年)

ベクターW8(1989年)

1976年に発表されたベクター・エアロモーティブW2は、デザイナーのジェリー・ウィーガート氏が航空技術に夢中になっていたことから生まれたモデルである。W2を市販化すべく開発したのがW8で、1989年にようやく公道走行可能な状態で公開された。当時の価格は45万ドル(約5100万円)であった。

W8の心臓部には、最高出力600psのGM製6.0L V8ターボが搭載され、最高速度は320klm/hに達すると言われていた。その価格にもかかわらず、14台が販売されている。1992年には76万5000ドル(約8700万円)という破格の値段のWX-3が跡を継いだ。

ベクターW8(1989年)
ベクターW8(1989年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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