誰も知らないスーパーカー 50選 前編 ひっそりと消えた不運な珍車・名車

公開 : 2021.11.27 06:05

ダウアー962(1993年)

ヨッヘン・ダウアーは、ポルシェのレースプログラムに密接に関わっていたため、ル・マン24時間レースで成功を収めた962のことをよく知っていた。ダウアーは、純正の962のシャシーに、カーボンファイバーとケブラーを用いたボディを装着し、オリジナルよりも空力特性を向上させている。

最高出力740psのツインターボ3.0Lフラット6を搭載したダウアー962は圧倒的な速さを誇り、新車時の価格は約70万ポンド(約1億円)で、わずか13台しか製造されなかった。

ダウアー962(1993年)
ダウアー962(1993年)

イズデラ・コメンダトーレ112i(1993年)

開発開始から4年後の1993年、コメンダトーレ112iがフランクフルト・モーターショーで発表されたが、このプロジェクトによりイスデラ社は2度目の倒産を余儀なくされ、再び消滅した。その後、1999年に再度登場したものの、またすぐに姿を消してしまった。

50万ポンド(約7700万円)の112iは、420psのメルセデス製6.0L V12を搭載し、最高速度338km/h、0-97km/h加速は4.3秒。さらに調整可能なサスペンションを装備していた。

イズデラ・コメンダトーレ112i(1993年)
イズデラ・コメンダトーレ112i(1993年)

リスター・ストーム(1993年)

GTマシンとしてよく知られているリスター・ストームは、4台の公道走行用モデルが製造され、そのうち3台が現存している。いずれも7.0Lのジャガー製V12を搭載しており、最高出力553ps、最大トルク80kg-mを発揮するストームは、発売当時、世界最速の市販4シーターと謳われた。

リスターによると、最高速度335km/h、0-97km/h加速4.1秒とされていた。

リスター・ストーム(1993年)
リスター・ストーム(1993年)

ジリアート・アエローザ(1994年)

ジリアートは日本の企業ではあるが、英国に拠点を置き、イタリアの老舗デザインハウスに対抗する重要な存在になろうとしていた。1994年には、フォード製の3.0L V6を搭載した魅力的なアエローザを発表している。

ちょっとした工夫で、このエンジンから300psを引き出すことができたが、1995年にはこのプロジェクトはすでに過去のものとなっていたのである。

ジリアート・アエローザ(1994年)
ジリアート・アエローザ(1994年)

ベンチュリー400GT(1994年)

フランスの自動車メーカーであるMVSが倒産した後、ベンチュリーとして復活し、同社はV6エンジンをミドマウントしたスポーツグランドツアラーを製造することを使命とした。ベンチュリーの誇る最強モデルは、ツインターボの3.0Lを搭載した400GTで、最高出力412psを誇り、最高速度293km/h、0-100km/hをわずか4.1秒で達成した。公道仕様はわずか10数台が生産されたが、レース向けには数十台が生産された。

ベンチュリー400GT(1994年)
ベンチュリー400GT(1994年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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