ジャガーXK140/フォード・サンダーバード 英米の2シーター・コンバーチブル 中編
公開 : 2021.12.11 07:06
気筒数と点火多順序が生む個性的なノイズ
このクルマには、オプションのパワーウインドウは選ばれていないが、4ウェイのパワーシートは付いている。1950年代の英国車の多くは、シートをリクライニングすらできなかったことを考えると、驚くほどの豪華装備といえる。
幅の広いベンチシートは、細身の大人なら3名が座れる。フロアMTだから、中央に座った友人の太ももを、ドライバーは頻繁に触れることになるが。
大きなボンネットの内側には、マーキュリーや警察仕様のフォードにも搭載された、Yブロックと呼ばれるオーバーヘッドバルブのV8エンジンが載る。洗練されたカムヘッドを備えるXK140の直6と比べると、デザインはかなり無骨だ。
ジャガーもフォードも、始動性は良い。文明的なアイドリングをすぐに始める。だが気筒数や点火多順序の違いがもたらす、個性的なノイズを響かせる。
XK140のスムーズなサウンドは、筆者にとってはお馴染み。サンダーバードのV8らしいビートも心地良い。クルマが止まっていても回転数数の変化でボディが揺れるほど、サスペンションが柔らかい。
V8エンジンは4000rpm以上回しても、さほど意味がない。直6は5000rpm以上まで回してシフトアップすることで、豊かなトルクとともに幸福を感じる。
ジャガーのモス社製トランスミッションから、寝た角度でレバーが伸びている。回転数の上昇とともに、ストレートカット・ギア独特の唸りが聞こえてくる。変速時にギアの回転数を同調させるシンクロメッシュが付くが、丁寧にタイミングを図る必要はある。
この続きは後編にて。