ジャガーXK140/フォード・サンダーバード 英米の2シーター・コンバーチブル 中編

公開 : 2021.12.11 07:06

気筒数と点火多順序が生む個性的なノイズ

このクルマには、オプションのパワーウインドウは選ばれていないが、4ウェイのパワーシートは付いている。1950年代の英国車の多くは、シートをリクライニングすらできなかったことを考えると、驚くほどの豪華装備といえる。

幅の広いベンチシートは、細身の大人なら3名が座れる。フロアMTだから、中央に座った友人の太ももを、ドライバーは頻繁に触れることになるが。

フォード・サンダーバード(1955〜1957年/北米仕様)
フォード・サンダーバード(1955〜1957年/北米仕様)

大きなボンネットの内側には、マーキュリーや警察仕様のフォードにも搭載された、Yブロックと呼ばれるオーバーヘッドバルブのV8エンジンが載る。洗練されたカムヘッドを備えるXK140の直6と比べると、デザインはかなり無骨だ。

ジャガーもフォードも、始動性は良い。文明的なアイドリングをすぐに始める。だが気筒数や点火多順序の違いがもたらす、個性的なノイズを響かせる。

XK140のスムーズなサウンドは、筆者にとってはお馴染み。サンダーバードのV8らしいビートも心地良い。クルマが止まっていても回転数数の変化でボディが揺れるほど、サスペンションが柔らかい。

V8エンジンは4000rpm以上回しても、さほど意味がない。直6は5000rpm以上まで回してシフトアップすることで、豊かなトルクとともに幸福を感じる。

ジャガーのモス社製トランスミッションから、寝た角度でレバーが伸びている。回転数の上昇とともに、ストレートカット・ギア独特の唸りが聞こえてくる。変速時にギアの回転数を同調させるシンクロメッシュが付くが、丁寧にタイミングを図る必要はある。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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