新型スバルWRX S4に試乗 上がったのは数値、ではなく体感性能

公開 : 2021.11.25 08:00

剛性アップで走りはどう変わったか?

WRXらしい速さ」のもう1つのファクターは、ねじり剛性が28%向上したボディだ。

SGPやフルインナーフレーム、さらに構造用接着剤などを総動員して刷新を図っている。

GT-H EXとSTIスポーツR EXの最大の違いは電子制御ダンパーの有無と、それに関連したドライブモードの設定にある。
GT-H EXとSTIスポーツR EXの最大の違いは電子制御ダンパーの有無と、それに関連したドライブモードの設定にある。

SGPのキモは後輪のすぐ上あたりのボディパネル裏側に仕込まれた補強フレームをしっかりと溶接できている点にあるという。

だがセミウェットの袖ケ浦を走らせてみて印象的だったのはフロントの方だった。

先代はブレーキングを残してターンインする瞬間、ストラット周りが定まらず前輪の感触が曖昧になるのだが、新型にはそれがない。

スリップアングルをよりリニアに感じられるので、「もっと丁寧に、もっと正確にドライブしなければ!」という気にさせられる。

GT-H EXとSTIスポーツR EXの最大の違いは電子制御ダンパーの有無と、それに関連したドライブモードの設定にある。

前後のトルク分配にも差があり、STIのほうがスロットルオンで積極的に曲がっていける。

VDCをオフにするとタイトコーナーでテールを流しつつ小回りするような芸当も可能になるが、思ったより前輪が食わないので、(オーバーステアになりにくい、安定感が高いとも言える)、BRZ/GR86のように手軽にテールスライドを楽しめる感じではなかった。

新型WRX S4の完成度は間違いなく高いといえる。だがMTモデルとはセンターデフの機構も異なっているので、今回の試乗だけでこのクルマの真価を計ることは難しい。

MTモデルの動向を見守りたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    宮越孝政

    Takamasa Miyakoshi

    1973年生まれ。スタジオワークを中心としたカメラマンのアシスタントを数年経験後、自動車雑誌の編集部員として、見習いに。編集部員時代に鍛えられた事は長距離の自走での移動と早朝ロケで早起きすること。その後、独立し、フリーランスとなる。クルマと関わりを持っていられることに幸せを感じる。愛車はルノー・カングー、日産スカイラインGT-R(R32)

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