どれが好き? クルマ業界のブーム 35選 前編 実用的なアイデアと見た目だけのもの

公開 : 2021.12.04 06:05

シザーズドア

1980年代のモーターショーでは、ランボルギーニ風のシザードアを装備した特注の高級車が発表されることが多かった。平凡なハッチバックからロールス・ロイスまで、成功の度合いや技術的な完成度はさまざまだが、シザーズドアへの改造も人気だった。

今でも改造キットを販売している会社はあるが、2000年代半ばの改造車シーンの衰退とともに、その傾向は薄れていった。

シザーズドア
シザーズドア

4×4のサスペンションリフト

世界がクロスオーバーを求めるようになるずっと前から、4×4はオフロード走行のためのものだった。グラウンドクリアランス(最低地上高)を大きくする必要があったため、サスペンションの「リフトアップ」が開発された。車体を持ち上げ、過酷な状況下でもタイヤとアクスルのクリアランスを確保できるようにしたのだ。

一般道しか走らない4×4ドライバーもこの外観を気に入り、1980年代にはピックアップから高級SUVまで、乗り込むのに脚立が必要なほど高い位置に座ることが当たり前になった。このトレンドの究極形態は、オフロードショーで巨大なジャンプ台の上でレースしたり、クルマを踏み潰したりして観客を楽しませるモンスタートラックだ。

4x4のサスペンションリフト
4×4のサスペンションリフト

車高短とワイド化

幅広のトレッドの上に、低く座るスタイルは、ハンドリングとグリップを向上させたいという願望から生まれたものだ。見た目はドリフトカーと共通しているが、機能よりも見た目を重視した独自のスタイルを確立している。

日本でドリフトが違法なスポーツとして始まったこともあり、世界でも日本車をベースに改造するケースが多い。今や世界中に広まり、タイヤをホイールリムの幅いっぱいに伸ばすなど多くのサブセクションが生まれている。

車高短とワイド化
車高短とワイド化

ゴールドバッジ

金メッキ、あるいは純金のバッジで自分のクルマを差別化しようとするオーナーは昔から存在した。やがてレクサスがゴールドバッジを装着し始めたことで、ボンネットやトランク、ドアにキラキラと輝く装飾品を付けたクルマが続々と登場した。狙いは、さりげなく高級感を演出すること。しかし、その効果はいささか露骨で粗野なものとなった。

マクラーレンはスピードテールに18金ホワイトゴールドのバッジ(オプション)を付けて、オリジナリティを強調した。ガソリンスタンドで他のスピードテールと遭遇したくない場合は、プラチナにすることも可能だ。

ゴールドバッジ
ゴールドバッジ

テールフィン

テールフィンをスタイリングに取り入れたのは、GMのチーフデザイナー、ハーレー・アール(1893~1969)の功績が大きいが、後輩のフランクリン・クイック・ハーシー(1907~1997)の功績と考える人も多い。いずれにしても、テールフィンは1948年のキャデラックに小さく登場したのを皮切りに、1950年代にかけてあらゆる米国車で急速に大きく、目立つようになっていった。

テールフィンは世界中で取り入れられ、1959年のキャデラック・エルドラドで見た目的にも流行的にもピークに達した。1960年代に入ると、テールフィンは古臭いイメージが強くなり、もっと実用的なデザインが好まれるようになったこともあって消えていった。

テールフィン
テールフィン

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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