どれが好き? クルマ業界のブーム 35選 後編 実用的なアイデアと見た目だけのもの

公開 : 2021.12.04 06:25

リアガラス用ルーバー

リアガラスのルーバーもまた、実用的な流行の1つである。急角度の窓から差し込む日差しや暑さに対抗するため、階段状の薄いスラットによって太陽光を防ぎながら後方視界を確保する。

ランボルギーニはミウラで早くからこのスタイルを採用し、ロータスはエスプリに採用している。綺麗に溶け込んだルーバーは、どこのカー用品店でも売られている後付けのスラットとは対照的だった。社外品の多くは、ルーバーが厚すぎて間が見えず、空気抵抗を増大させるだけのものだ。

リアガラス用ルーバー
リアガラス用ルーバー

ポップアップ・サンルーフ

戦後のクルマのヒエラルキーの中では、サンルーフはかなり高級なものとされていた。アフターマーケットの選択肢は、折り畳み式のベバスト(Webasto)タイプのものに限られており、価格も高かった。しかし、ガラス、プラスチック、大量生産の進歩により、ポップアップ式の新しいスタイルのルーフが安価に提供されるようになった。

1970年代初頭に登場したポップアップ式は、瞬く間にどんなクルマにもシックな雰囲気を与えたが、雨が降ると水滴が垂れてくるのが常だった。自動車メーカーは、より頑丈で密閉性の高いサンルーフを開発したが、1990年代に入ると、さらに汎用性の高いスライド式に取って代わられ、ポップアップ式は数を減らしていった。

ポップアップ・サンルーフ
ポップアップ・サンルーフ

ドリフト用大型ギアスティック

日本のサブカルチャーとして始まったドリフトのスタイルの1つに、ギアレバーの延長がある。そもそもの発想は、ドリフト中のギアチェンジの際に、レバーを握りやすくするというもの。それがやがてドライバーの個性をアピールするためのスタイルとして定着していったのだ。

今でも一部のドリフターには人気があるが、大きなレバーには特にメリットはない。かえって、レバーの重さが素早いギア操作を妨げていると感じる人も多い。

ドリフト用大型ギアスティック
ドリフト用大型ギアスティック

ガーフィールド

「ガーフィールド」は、米国人のジム・デイビスが考案したアニメである。彼は、スヌーピーに匹敵するキャラクターを作り、猫の飼い主にも楽しんでもらおうと考えた。このアイデアは見事に当たり、利益を最大化するためにグッズ化の検討を始めた。

そのグッズとは、ガーフィールドのぬいぐるみにマジックテープを付け、カーテンやクッションに引っ掛けられるようにするものだった。しかし、試作品の手違いで、マジックテープではなく吸盤が付いてしまったのだ。

ガーフィールド
ガーフィールド

デイビスは吸盤のアイデアを採用し、1987年に発売。何百万人ものドライバーがクルマの窓に付けるためにガーフィールドを購入した。笑う人もいたが、最後に笑ったのはデイビスで、このグッズのおかげで5000万ドルを手にしたのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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