どれが好き? クルマ業界のブーム 35選 後編 実用的なアイデアと見た目だけのもの
公開 : 2021.12.04 06:25
ボディキット
クルマのオーナーは、第二次世界大戦以前からさまざまなパーツを後付けしていた。一般的には、日除けや追加のライトなどだ。しかし、1970年代に入り、安価なグラスファイバー成形技術が確立されると、アフターマーケット用のボディキットが本格的に普及するようになる。エアロバンパー、スポイラー、オーバーフェンダーなどモータースポーツの影響を受けたものが多く、自動車メーカーも積極的に販売するようになった。
ブームの絶頂期は、1990年代に雑誌『Max Power』を中心とした改造ブームの最中に訪れた。どんなクルマでも、どんな改造でも、あまりにワイルドで実用的でないものでもOK。しかし、2000年代初頭になると、手頃な価格で保険にも加入できるホットハッチが復活したため、トレンドは急速に衰退していった。
ダンプバルブ
ダンプバルブは、チューニングされたターボエンジンで重要な役割を担っている。スロットルを開けたときに圧縮されたガスを逃がし、ターボの回転を素早く行うことで、瞬時にレスポンスを得ることができる。ラリーではチャタリングなどの「音」で注目を集め、ストリートヒーローを気取っていた人たちがすぐに取り入れた。
ダンプバルブはほとんどのターボ車に簡単かつ安価に取り付けることができ、1990年代は金曜日の夕方になると国中でチャタリング音を聞くことができた。多くの場合、性能には特に影響もないので、機能面よりもノイズが勝ったということだ。
ボンネットダクト
ヴィンテージカーには、エンジンを冷やすシンプルな方法としてボンネットダクトが付いている。しかし、1986年にフォード・シエラ・コスワースが登場してからは、ボンネット上の通気孔は速く走るクルマの必需品となった。
エンジンルーム内の空気の流れを改善するのに役立つが、アフターマーケットでは、ただ貼り付けるだけのものが多い。また、むやみに穴を開けるよりも大型ラジエーターを装着する方が効果的だ。
フリップペイント
1990年代、塗装技術の進歩により、フリップペイント(偏光性塗料)が簡単かつ手頃な価格で実現した。フリップペイントとは、ツートンカラーなどとは異なり、偏光効果を利用し角度によって色が変わって見えるものだ。
TVRはいち早くこの技術を採用し、MGなども後に続いた。多くの改造車やカスタムカーがフリップフィニッシュで再塗装されたが、愛車を他人のクルマよりも目立たせる方法が増えたことで、知らぬ間に衰退していった。