日産、車種を約20%削減 EV/eパワーの2本立て 18か月で12の新型車

公開 : 2021.11.30 12:28

社会変化を冷静に捉えた戦略

内田CEOはニッサン・アンビション2030の中で、「2030年度までにEV 15車種を含む23車種のワクワクする新型電動車を投入する」と発表した。

これは、日産のみならず、日本政府も掲げいてる2050年カーボンニュートラル実現に向けた布石だ。

同時公開された日産チル・アウト・コンセプト。
同時公開された日産チル・アウト・コンセプト。    日産

カーボンニュートラルとは、人間界から排出されるCO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスの量を削減し、森林など自然界で吸収されるCO2量と相殺するという考え方である。

日産は2030年度でグローバルの電動化(EVとeパワーが主軸)普及率50%以上を目指す。

また2030年までの約9年間の中間地点である、2026年をひとつの区切りとして、EVとeパワーの搭載車をグローバルであわせて20車種導入する。

ただし、国や地域によって社会インフラや法律などに違いがあるため、欧州では75%以上と高く、日本は55%、中国は40%としているほか、アメリカではEVのみで40%以上と見込む。

こうなると、具体的にどのような新型EVが登場するのか気になるところだ。

その方向性として今回、3つのコンセプトモデルがCGによるデザインスタディ的な雰囲気で世界初公開された。

マックス・アウト、ハング・アウト、そしてサーフ・アウトという3モデルである。

3種それぞれが後継モデルか?

3つのコンセプトモデルを順に見ていく。

マックス・アウトは、2ドアオープンカーだ。マックスとはGT(グランドツーリング)としてのスポーティ性を強調した、乗る人の気持ちと高出力を示すイメージである。この姿を素直に受け止めれば、未来のZを想像する。

左から順に日産マックス・アウト/サーフ・アウト/ハング・アウト。
左から順に日産マックス・アウト/サーフ・アウト/ハング・アウト。    日産

つぎに、ハング・アウト。米語でハング・アウトは外に出かけるという意味があり、まさにSUVの商品イメージと重なり合う。

こちらは、日本ではエクストレイル、北米など海外ではローグやパスファインダーなど、オフロード走行にも十分対応できるモデルのEV化を想像する。

前述にように、北米では当面、eパワーではなくEV重視路線を進めることになっており、ハング・アウトをデザインベースとした量産車の登場は比較的早いのではないだろうか。

これに加えて、ピックアップトラックのサーフ・アウトも、北米需要を考えるとハング・アウトとほぼ同時期の量産化が予測できる。

一方、日本市場では当面、各モデルで第2世代eパワー化が浸透することが優先され、EVではアリアの後に、ハング・アウト系EVが登場。

さらに、新世代Zとしてマックス・アウト系EVという流れが徐々に見えてきた……。

いずれにしても、日産の電動化シフトが今後5年間で一気に加速することは間違いない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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