BMW、コンセプトXM初公開 M部門の次世代PHEV 4.4L V8とモーターで総出力750ps

公開 : 2021.11.30 18:05

Mモデルの次世代デザイン

フロントシートにはヴィンテージ・ブラウンレザー、リアシートにはティール・ダイヤモンドベルベット、そしてコッパーやカーボンファイバー製のトリムエレメントなど、上質な素材をインテリアに採用。フロントとリアの素材を意図的に対比させることで、フロントはスポーティでドライバー中心のエリア、リアはラグジュアリーな「ラウンジ」として強調している。

エクステリアはシャープで角張ったデザインが特徴的。フロントでは、大幅に刷新されたキドニーグリルがLEDで縁取られ、ヘッドライトは上部がスリムなLEDストリップ、下部がメインライトとなっている。

BMWコンセプトXM
BMWコンセプトXM    BMW

このコンセプトモデルには、ツートンカラーの塗装が施されている。スペースグレイの下部とマットゴールドブロンズの上部は、光沢のある「ブラックベルト」で隔てられている。このベルトはリアに向かって上昇し、クーペ風のルーフラインに合わせることで、スポーティな印象を生み出している。

リアの処理もドラマチックだ。スリムなL字型のLEDテールライト(非点灯時はブラック)、縦に積まれた六角形のクアッドエグゾースト、大型ディフューザー、そしてM1にちなんでリアウィンドウに刻まれたBMWのエンブレム「ラウンデル」などが特徴的だ。

コンセプトの寸法は公表されていないが、市販モデルは7人乗りSUVのX7(全長5151mm、全幅1990mm)に近いものになるようだ。

また、23インチの大径アルミホイールを装着することは分かっているが、足回りの仕様詳細は不明。ちなみにX7のサスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン、リアが5リンクで構成されており、電子制御式のダンピングとエアスプリングを備えている。また、XMの発売時には後輪操舵が採用される予定だ。

なぜEVではなくPHEVなのか?

英AUTOCAR編集部は、BMW Mのフランク・ヴァン・ミールCEOに話を聞いた。

――ラグジュアリーへのシフトは、M部門の新方針なのでしょうか?

BMWコンセプトXM
BMWコンセプトXM    BMW

「お客様からのフィードバックは、当社のクルマを愛しているが、さらに表現力のあるラグジュアリーさを求めているというものでした。それを実現したのが今回のモデルです。表現力豊かなラグジュアリーという、Mの新しいステップです」

――コンセプトXMは、どのくらい市販モデルに近いのですか?

「正確に言うのは難しいですね。90%は超えていますが、暗色のナンバープレートなど、ホモロゲーションを取得できない機能が多いため、細部の変更が非常に多くなります。これらの要素は別のアプローチで対処します」

――なぜハイブリッドなのですか?

「わたし達は、この10年ですべてのモデルを電動化すると宣言しました。すでにi4とiXではMパフォーマンス仕様を導入していますが、今回のモデルは、高性能化・電動化された最初のMです」

――これがV8の最後の砦となるのでしょうか?

「そうは言いません。まだV8には大きな需要がありますので、やめることはありません。しかし、V8を電動化することで、より長く市場に出し続けることができます」

――なぜ完全なEVではないのでしょうか?

「まだ完全EVに対応できない市場はたくさんあります。高性能モデルの場合、電動技術をさらに推し進める必要がありますが、それを実現したのはポルシェタイカンだけです。わたし達にとって最大の市場は米国ですが、現地からのフィードバックは、EVにはしないでほしい、V8を残してほしいというものでした」

「2019年の米国におけるMの販売は、X5 MとX6 Mに大きな需要があり、これまでで最も好調でした。つまり、これはV8をハイブリッドに推し進めることへの、お客様からの投票です。ハイブリッド化は大きなステップですが、お客様はこれを期待しています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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