ホンダHR−V 詳細データテスト 質感や経済性は良好 シャシーは優秀 パワートレインは力不足

公開 : 2021.12.04 20:25  更新 : 2021.12.17 17:19

ホンダ・ヴェゼルの欧州仕様は、懐かしいHR−Vの名前で出ています。デザイン性やエルゴノミクス、経済性や乗り心地など、優れた点は多いものの、パワートレインには、ホンダに期待されるスポーティさを見出せませんでした。

はじめに

日本ではヴェゼル、英国ではHR-Vの新型を目にして、ホンダのデザイン停滞期にようやく終わりが見えてきたと思ったのではないだろうか。少なくとも、量販モデルに関しては。

EVのホンダeは、初代スマート以来で最も個性的なシティカーだし、新型ジャズ(フィット)には、先代にはまったくなかった古き佳き軽自動車を思わせるかわいらしさが宿っている。カーマニアなら洟も引っ掛けないようなクルマだが、ショールームで個性が強烈なNSXシビック・タイプRと並んでいても、すっかり霞んでしまうようなものにはなっていない。

テスト車:ホンダHR-V e:HEVアドバンススタイル
テスト車:ホンダHR-V e:HEVアドバンススタイル    JOHN BRADSHAW

そうした流れの中で登場したのが、新型HR-Vだ。これまではあまり特徴のないクロスオーバーでありながら、グローバルに販売台数を稼ぐホンダの主力商品のひとつだった。

同じクラスにはルノー・キャプチャープジョー2008などもいるが、直接的な競合車種は日産キャシュカイフォルクスワーゲンT−ロックだ。マーケットはまさしく密な状態で、群雄割拠なだけに、ホンダはこのクーペ風クロスオーバーの開発にかなりの力を入れてきた。

驚くほどスリークなデザインに生まれ変わった3代目HR−Vは、英国ではe:HEVことハイブリッド仕様のみが販売される。市街地での速度域ではEVのように使えて、高速道路ではエンジンのみで走ることで効率を最大限高め、その中間ではエンジンとモーターをブレンドするシステムだ。

ジャズに続いてハイブリッド専用車として英国に投入されたHR−Vは、2020年までに欧州向け量販モデルをすべて電動化するというホンダの戦略において、現時点でもっとも重要なステップだといえるかもしれない。

しかも、ホンダはフレッシュなルックスと並外れた経済性だけがこのクルマの魅力ではなく、パッケージングや快適性でもクラス最高レベルだという。しかも、それだけでは足りないと言わんばかりに、ドライビングの楽しさを求めた、とまで付け加えている。そこまでいうなら、その挑戦を受けて立とう、というのが今回のテストの意気込みだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。

関連テーマ

コメント

おすすめ記事

 
×