ホンダHR−V 詳細データテスト 質感や経済性は良好 シャシーは優秀 パワートレインは力不足

公開 : 2021.12.04 20:25  更新 : 2021.12.17 17:19

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

サイズ感は、先代モデルとそう変わらない。路上での占有面積は、相変わらずフォルクスワーゲン・ゴルフと同程度だ。しかし、シルエットはガラリと変わった。

スッと伸びたボンネットの先にはグリルが直立し、スロープしたリアウインドウはポールスター2やBMW X4といったプレミアム勢を思わせる。ルーフラインは低くなり、しかし地上高は引き上げられた。オーバーハングは、フロントが短くなり、リアは逆に伸びている。

グリルはボディと同色で一体感があり、開口部の面積が半分ほどしかないことは電動化を示唆する。ほぼ直立したグリルと、珍しいほどフラットなボンネットとの境目は、逆スラントのエッジが刻まれている。
グリルはボディと同色で一体感があり、開口部の面積が半分ほどしかないことは電動化を示唆する。ほぼ直立したグリルと、珍しいほどフラットなボンネットとの境目は、逆スラントのエッジが刻まれている。    JOHN BRADSHAW

ボディに刻まれたラインは少ないが、クッキリとして存在感を強めている。これと迫力のあるホイールアーチのクラッディングが相まって、ルックスのキャラクターが劇的に明確になった。ここにシャープなヘッドライトと、左右をバーで繋いだテールライトが加わり、2008のように印象の強いライバルと並んでも引けを取らないエクステリアが完成している。

その下に隠れたメカニズムは、外観以上に大きく変わっている。たとえば、英国仕様では唯一のパワートレインとなるハイブリッドシステムは、トヨタプリウスのような形式となった。もちろん、正確には同じタイプとはいえないが。

エンジンは1.5Lのアトキンソンサイクルで、最高出力は107ps。これにモーターを組み合わせ、システムとしては131psを発生する。モーター単体でも131psを発生するが、EV走行できるのは低速域のみ。駆動用バッテリーは、荷室の床下に搭載される。対して高速巡航時には、エンジンがクラッチを介して前輪をダイレクトに駆動することで効率を高める。

ハイブリッドモードでは、ふたつのパワーソースが協調。パフォーマンスを最大まで発揮するばかりでなく、エンジンはジェネレーター用モーターを回してバッテリーを充電する場合もある。この仕立てはジャズのハイブリッドシステムと同じだが、パワーはアップされ、バッテリー容量も25%拡大されている。また、固定ギアのe−CVTはギア比が低くなり、パフォーマンス向上に寄与している。

車体のベースは、ホンダのグローバルスモールプラットフォームで、先代より剛性はかなり高くなった。ステアリングコラムも剛性が15%高められたというので、操縦性向上が期待できる。それについては、追って検証しよう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。

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