ホンダHR−V 詳細データテスト 質感や経済性は良好 シャシーは優秀 パワートレインは力不足

公開 : 2021.12.04 20:25  更新 : 2021.12.17 17:19

内装 ★★★★★★★★☆☆

エルゴノミクスは、HR−Vの強みだ。視認性と操作系のポジションはクラス平均より優れていて、マジックシートを採用した後席はレッグスペースが驚くほど広い。ただし、ヘッドルームは並外れているというほどではない。送風口は優しい風を生むように再設計され、特定の場所にのみ風が当たるものではなくなった。

デザイン的には、堅実なジャズよりも、個性あふれるホンダeを連想させるもの。ソフトタッチのフィニッシュが数多く用いられ、好ましい色合いも用意されている。コンビレザーのシートはとりわけ魅力的だ。ただし、下位グレードでは、テスト車のアドバンス・スタイルほどのバリエーションがない。

フレッシュでモダンなフィールだが、いっぽうでホンダは実体スイッチやダイヤルを多くの操作系に残しているので、使い勝手がいい。質感もみごとだが、昔ながらの長いシフトレバーはなくてもよかったのではないだろうか。センターコンソール上が煩雑に見えるし、感触もチープだ。全体的には、おそらくキャシュカイより上だが、マツダCX−30のエレガントさには及ばない。

そうそう、マジックシートとはなんぞや?とお思いの読者もおいでだろう。これは、シートバックを完全なフラットにフォールドできるリアシートだ。座面は背もたれの前倒しに連動してフロアへと沈み込むが、これは後席スペースが30mm拡大されたことで可能になった。燃料タンク位置をシャシー前方へ移した、センタータンクレイアウトの恩恵だ。

さらに、座面は跳ね上げもでき、自転車や大画面テレビといった、荷室では天井につかえそうな背の高い荷物も、余裕を持って積載できる。後席使用時の荷室容量は319L、スピーカーが追加されるアドバンス・スタイルでは304Lと物足りないが、シートアレンジによってバーサティリティはクラストップレベルにある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。

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