2台の“小さな”トヨタEV 乗って気づいた、意外な作り込み 課題は価格か

公開 : 2021.12.01 21:50  更新 : 2021.12.01 22:15

旋回/段差/操作 こんな配慮も

前輪のほぼ真上にステアリングバーがあることで、走行中の安定感は抜群。

設定速度にかかわらず、旋回中はその角度に応じて自動的に減速し、これによって躊躇なく曲がれる安心感もあった。

橙のボタンが後退。ハンドルを握ったときに親指がかかる位置のレバーが加速。ブレーキは自転車と同じ位置のレバー。C+walk Tにはマスターキーとサブキー(写真)が付属。キー毎に、最高速を設定できるので、利用者の習熟度に応じた制限を設けることが可能。
橙のボタンが後退。ハンドルを握ったときに親指がかかる位置のレバーが加速。ブレーキは自転車と同じ位置のレバー。C+walk Tにはマスターキーとサブキー(写真)が付属。キー毎に、最高速を設定できるので、利用者の習熟度に応じた制限を設けることが可能。    前田惠介

また、操作系が左右対称となっていてとても分かりやすい。これは誰でも迷わずに扱えることもあるが、ステアリングを切った際に身体に近い方の操作がしにくくなることを避けるための措置なのだ。

それにこれは、左右どちらかの腕/手に障害を持つ人にも配慮した設計ともなっているという。

試乗会場は平地なので試すことはできなかったが、上り坂では最大傾斜6°まで対応でき、下り坂では自動的に速度を抑えて走行する機能も備えていた。

また、25mmまでの段差の乗り越えも可能で、横断歩道から歩道への乗り入れも十分対応できるそうだ。

また、オプションのセーフティサポートを装着すると、前方にある障害物を検知したときは、警告音とメーター表示で警告。同時に2km/hまで減速する。

自動車とは違って停止までしないのは転倒の危険を未然に防止するためなのだという。

では、座った形でのスタイルはできなかったのか。

どんな所にニーズ? 課題は?

着座タイプについてトヨタZEVファクトリーZEV B&D Lab主幹の山田雅司氏は、「すでに歩行困難者向けに座って歩道を走行するシニアカーは存在するが、C+walk Tは立って健康を維持しながら移動することを目的に開発された」と話す。

加えて、「立ち乗りなら乗り物として混雑時でも邪魔になりにくいというメリットもある」(山田氏)。

ボディサイズは全長700×全幅450×全高1210mm。人混みのなかでも人間1人分と同じスペースがあれば十分。写真は前照灯ONの様子。
ボディサイズは全長700×全幅450×全高1210mm。人混みのなかでも人間1人分と同じスペースがあれば十分。写真は前照灯ONの様子。    前田惠介

とはいえ、東京モーターショーで公開された通り、着座するタイプも開発中で、こちらは「シニアカーのカテゴリーも視野に入れている」(山田氏)とのことだった。

気になるC+walk Tの価格は、34万1000円(セーフティサポート付:35万4200円)。

現時点での需要はイベント会社や大規模施設などが対象で、個人向けにはシニアカー並みの移動が許可され、価格も大幅に下がらないと厳しそうではある。

とはいえ、これをステップに新たな乗り物として裾野が広がっていくことを期待したい。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事