美声で吠えかかる マクラーレン765LTスパイダー 手なづけたい最新ロングテール

公開 : 2021.12.03 19:26

ロングテール乗りが出会う、2つの顔

翌日のサーキット走行は幸いにもドライ。

すると765LTはまたも従順な表情を見せ始め、低中速コーナーがバランスよく続くナバラ・サーキットを軽快に走り始めた。

限界を探りながらコースを攻め抜いて、さまざまな制御を楽しみながら腕を磨いていく。そんな付き合い方ができる1台と筆者。
限界を探りながらコースを攻め抜いて、さまざまな制御を楽しみながら腕を磨いていく。そんな付き合い方ができる1台と筆者。

やはり、このステアリング・インフォメーションは、なにものにも代え難い安心感をドライバーにもたらす。

そんな、いかにもマクラーレンらしい安定した走りに浸っていたところ、それまで何ごともなくクリアしていた中速コーナーでいきなりテールが滑り始め、私にカウンターステアを要求したのである。

このときは難なく対処できたものの、助手席に腰掛けていたインストラクターは、私のラインが少しイン側に寄りすぎていてそれまで以上に大きな横Gがタイヤにのし掛かったことにくわえ、私のスロットル操作がややラフだったためにリアタイヤの限界を越えた、と分析してくれた。

私の不注意だったといえばそれまでだが、このシビアな限界性能を逆手にとれば、765LTは繊細なスロットルワークを習得するのに役立つとも考えられる。

しかも、720S同様、765LTにもVDC(バリアブル・ドリフト・コントロール)が装備されているので、任意のスリップアングルまでは自由にテールスライドを許すいっぽうで、設定値を越えると滑らかに制御が介入するスタビリティ・コントロールを一種のセーフティネットとして活用することも可能。

サーキット・ドライビングのスキルを磨きたいと願うドライバーにとって、これほど理想的な練習台もそうそうないだろう。

マクラーレン765LTスパイダー スペック

価格:4950万円
限定台数:765台
全長:4600mm
全幅:1930mm(ミラーを含まず)
全高:1193mm
最高速度:330km/h
0-100km/h加速:2.8秒
車両重量:1388kg(DIN:フルード類+90%の燃料)
エンジン形式:3994cc V8ツインターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:765ps/7500rpm
最大トルク:81.6kg-m/5500rpm
ギアボックス:7速DCT
駆動方式:縦置きミドシップ
乗車定員:2名

マクラーレン765LTスパイダー
マクラーレン765LTスパイダー

記事に関わった人々

  • 執筆

    大谷達也

    Tatsuya Otani

    1961年生まれ。大学で工学を学んだのち、順調に電機メーカーの研究所に勤務するも、明確に説明できない理由により、某月刊自動車雑誌の編集部員へと転身。そこで20年を過ごした後、またもや明確に説明できない理由により退職し、フリーランスとなる。それから早10数年、いまも路頭に迷わずに済んでいるのは、慈悲深い関係者の皆さまの思し召しであると感謝の毎日を過ごしている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事