ジープ・ラングラー・ルビコン 392へ試乗 6.4Lヘミユニットで476ps ブロンコに対抗

公開 : 2021.12.13 08:25  更新 : 2022.08.08 07:18

オンロードでの運転も想像以上に安楽

通常のルビコンとの見た目の明確な違いは、車高が2インチ、50mmほど高いこと。クルマに近づくと、巨岩のように大きい。392用の大径タイヤと、フォックス社製ダンパーが組まれているためだ。

ロードクリアランスが増えたおかげで、フロント・オーバーハング側のアプローチ、ホイールベース部のブレークオーバー、リア・オーバーハング側のデパーチャーという、傾斜地でボディを擦らない角度も向上。既に優秀だった走破性を、一層高めている。

ジープ・ラングラー・ルビコン 392(欧州仕様)
ジープラングラー・ルビコン 392(欧州仕様)

後ろ側へ回ると、実務的なマフラーカッターが4本も並ぶ。ボンネット上部のエアインテークや、各所に配された392のロゴとともに、通常のラングラーと一線を画すことを主張するようだ。

ルーフは電動でスライド可能なキャンバス仕様。脱着できる4枚のドアを取り払えば、マッドマックスの世界に紛れ込んだような体験にも浸れる。

ルビコン 392は、圧倒されるほどワイルドなだけではない。最新のJL型ラングラーに通じる、高められた質感も失っていない点も特長といえる。

シャシーとボディが別体となった構造に、前後にリジッドアクスルが組まれたオフローダーだが、オンロードでの運転も想像以上にしやすい。ステアリングのレシオはスローながら、正確性は悪くない。

コーナーでは過度にボディロールすることもなく、乗り心地は充分にしなやか。8速ATは滑らかに変速してくれるだけでなく、変速タイミングも適正だった。

最も速く悪路に強いラングラー

ブロックのように切り立ったボディだから、高速域での風切り音は盛大。肉厚なタイヤの影響もあり、カーブの連続する区間ではアンダーステアも隠さない。接地面が変化し、ヒヤッとする場面もゼロではない。

しかし、ルビコン 392は紛うことなきオフローダー。オンロードも無難に走れることを、評価するべきだろう。無骨なオフローダーとしてジープのファンなら、ルビコン 392も気に入るはず。最も能力に長け最も速い、エクストリームなラングラーだ。

ジープ・ラングラー・ルビコン 392(欧州仕様)
ジープ・ラングラー・ルビコン 392(欧州仕様)

英国での価格はかなり張る。ルビコン 392は現状では英国に正規導入されておらず、クライブ・サットン社を通じてスウェーデン経由で輸入することになる。

左側通行のヘッドライトに交換され、英国での型式承認が可能な状態で、10万5000ポンド(約1596万円)を用意する必要があるという。4気筒のルビコンは5万2450ポンド(797万円)だから、ジープとしては高い。

とはいえ、ランドローバーディフェンダー110 V8の英国価格は、10万1000ポンド(約1535万円)だし、メルセデスAMG G63は16万2000ポンド(約2462万円)もする。桁外れ、というほどではないだろう。

ディフェンダーやGクラスのように豪華でもないし、オンロードを快適に飛ばせるわけでもない。だが、ジープ・ラングラー・ルビコン 392も、荒野を縦横無尽に楽しむことができる。欧州製のオフローダーとは明らかに異なる、ワイルドなスタイルで。

ジープ・ラングラー・ルビコン 392(欧州仕様)のスペック

価格:10万5000ポンド(約1596万円)
全長:4882mm(標準ラングラー)
全幅:1894mm(標準ラングラー)
全高:1848mm(標準ラングラー)
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:4.7秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:2150kg(予想)
パワートレイン:V型8気筒6417cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:476ps/6000rpm
最大トルク:64.8kg-m/4300rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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