ダイハツ・ロッキー・プレミアムG HEV試乗 ライバル「eパワー」とまったく違う性格に
公開 : 2021.12.07 05:45 更新 : 2021.12.07 21:21
新ダイハツ・ロッキーに試乗。エンジン感あるeスマートハイブリッドはeパワーとまったく違う仕上がりになっていました。
手堅いモデルのハイブリッド
ここまで違うとは想定外。
何と違うかといえば、トヨタ「ライズ」とダイハツ「ロッキー」に新たに加わったハイブリッドと、日産のハイブリッドである「eパワー」を比べての印象。
走りのフィーリングがまったく違うのだ。
まずは状況を整理しよう。
ライズとロッキーは、2020年1月にSUVとしてはじめて日本の月間新車販売ランキングでナンバー1に輝いたほどの人気モデル。
全長4mを切るコンパクトボディ(にもかかわらず後席と荷室が広いのだから驚異的なパッケージングだ)とリーズナブルな価格がセールスポイントになっている。
そんな「手堅いモデル」にハイブリッドが加わるところまでは、想定内といえるだろう。
2021年11月に、先進安全機能をバージョンアップするなどデビュー2年目のマイナーチェンジを迎えると同時にハイブリッドが加わったのだ。
しかも、驚いたのはそのハイブリッドシステム。トヨタが「アクア」や「ヤリス」をはじめ多くのモデルに展開している「THSII(トヨタ・ハイブリッド・システムの2世代目)」ではなく、全く異なるシステムを組み合わせたのだ。
THSIIはエンジンの動力とモーターの力をバランスよくミックスさせて使うのが特徴。
しかし「eスマート」と呼ぶ今回が初採用となるハイブリッドは、エンジンを発電機としてだけ利用。
そこで起こした電気を使って、モーターだけで駆動力を生み出す仕掛けだ。いわゆる「シリーズハイブリッド」である。
「エンジン感」ある仕上がり
それって日産の「eパワー」と同じじゃないの?
実はそのとおりである。システムの概念や機能としてはまったく同じ。
この仕掛けは世界的にも珍しく、かつてトヨタがマイクロバスの市販モデルへ実験的に採用していたことはあるものの、市場を広げて一般化させた実質的な先駆者といえるのは日産だ。
だからライズとロッキーがそのハイブリッドを採用してきたとなれば、やっぱり日産式と比べたくなってしまうし、それがわかりやすい。
そこでeパワーとの違いを探るのを中心に試乗してみた。
その印象が冒頭の「ここまで違うとは想定外」というわけである。
何が違うのか?
ひとことでいえば、「モーター走行感覚が強くてあたかも電気自動車」なeパワーに対してライズ&ロッキーは「エンジン車のような乗り物」。
言い換えれば「運転感覚に先進性が強いeパワーに対してライズ&ロッキーはガソリン車から乗り換えても違和感なし」ともいえる。
eパワーの狙いはエンジンの感覚を無くすことであり、システム的に近い三菱のPHEVやホンダの「e:HEV」も同じ方向性だ。
しかしライズ&ロッキーはそうではない。
エンジン車のような感覚をもたらす理由はどこか。
それはエンジン音だ。
eパワーをはじめ前出のシステムは、エンジンの存在感を拭おうとエンジンを止める範囲をできるだけ広くしている。
そしてエンジンがかかっても、なるべく回転数を上げることなくエンジンが目立たないようにしているのだ。
でも、ロッキー&ライズは違う。