ダイハツ・ロッキー・プレミアムG HEV試乗 ライバル「eパワー」とまったく違う性格に
公開 : 2021.12.07 05:45 更新 : 2021.12.07 21:21
「先進性」より「良質廉価」を
ライズ&ロッキーはアクセル開度(必要とされる出力)に応じてリニアにエンジン回転が上昇。
それに応じてエンジン音も大きくなるから、エンジン車を運転している感覚に近いのだ。
もちろん、ライズ&ロッキーも停止状態からの発進などはモーター車ならではの滑らかさがあるし、低速走行時(約40km/hまで)はバッテリー残量さえあればエンジンを止めて走るからそこではしっかりハイブリッドらしさを感じる。
しかし、全体的な印象はかなりガソリン車である。
また、爽快感とか運転する楽しさでも違いがある。
率直にいえば、この部分に関しては日産が大幅にリード。
加速がシャープかつアクセルを大きく踏む混んだ際のどこまでも突き抜けるような伸びやかさや盛り上がりがあって、走って楽しいモーター駆動車に仕立ててある。
しかし、ライズ&ロッキーの加速にそこまでの鋭さはなく、あくまで実用エンジンを積んだガソリン車の延長線上だ。
果たして、モーター車らしくない走りに仕立てた背景はどこにあるのか。
その答えははっきりしている。
ドライバビリティで先進性アピールするよりも良品廉価な商品作りを目指したからだ。
eパワーのようにエンジン回転をなるべく低く抑えるのも、モーターのパワーを急激にさく裂させるのも、バッテリー容量に余裕があってはじめて実現できる。
しかし、バッテリーは高価だから車両価格を下げるためには可能な限り少ない容量としたい。
その選択において、ダイハツは後者を選んだのだ。
eパワーとは違うダイハツの正義
とはいえ、そんなライズ&ロッキーが商品として悪いというつもりはまったくない。
そもそもハイブリッドを積んだ目的はドライバビリティの向上ではなく燃費性能アップであり、その目的はしっかりと達成しているからだ。
試乗会でのざっくりとした計測だが、ほぼ同じルートを走ってガソリン車(1.2L自然吸気)が17km/L程なのに対し、ハイブリッドは約23km/Lと向上しているのだ。
そのうえ、値段を抑えたことにも正義がある。多くの人に届けようという目的はしっかり果たせていると断言できる。
燃費が良くて価格も安い。だから商品性が高い。
それがライズ&ロッキーのハイブリッドなのだ。
ところで、今回のマイナーチェンジではもう1つ新しいパワーユニットが加わっている。
1.2L自然吸気エンジンだ。
FFモデルで従来の1.0Lターボに代えて加わったこのエンジンは「価格を抑えるためにダウングレードしたユニット」と期待していなかったのだが、試乗して驚いた。
かなりいいのだ。
もちろんターボほどのエネルギーはないけれど、予想以上によく走るのである。
トルク重視のエンジン特性としたのが正解だろう。
そのうえ今回の試乗会で、燃費を意識することなくフツーに乗っての17.0km/Lという燃費も十分な実力。
これはこれで、かなりおススメである。
ダイハツ・ロッキー・プレミアムG HEVのスペック
価格:234万7000円
全長:3995mm
全幅:1695mm
全高:1620mm
ホイールベース:2525mm
車両重量:1070kg
パワートレイン:水冷直列3気筒 1196cc+モーター
最高出力:82ps/ 5600rpm
最大トルク:10.7kg/3200-5200rpm