新型アウディRS3 短時間、日本初試乗が実現 「らしからぬ」キャラクター実感

公開 : 2021.12.06 11:58

新型アウディRS3セダン。ほんの僅かな時間でしたが、サーキットでの試乗が叶いました。

禁断のRS3、見た目の迫力も充分

富士スピードウェイで開催されたアウディスポーツの試乗会。

R8やeトロンGTといった速いアウディの隊列に、本邦デビューを果たしたばかりの新型RS3セダンの姿もあった。

新型アウディRS3セダン
新型アウディRS3セダン

新型RS3の試乗車は来年の春くらいに用意されるという話だった。

ところが今回はドイツ本国から「展示用」としてやってきている左ハンドル車の試乗許可が下りたのだという。

試乗は富士の本コース1周のみ。ピットアウトしてピットインするだけなのでホームストレートも走らない。

さらに新型RS3のキモである「RSトルク・リア」モードを使ったドリフト走行も禁止とのこと。それでもとても貴重な機会であることに変わりはない。

新型のすぐ前に現行のRS3セダンが止まっていたため、両者の見た目の違いがよくわかった。

シルエットは似ているが、ボディサイドの膨らみが増している他、フロントマスクは完全に別物。

グリルやエンブレム、その周囲もブラックアウトされており、現行のRS3がノーマルモデルに見えるくらいのインパクトがある。

運転席に座りアウディドライブモードをチェックする。エフィシェンシーからダイナミックまでの4モード以外に、RSインディビデュアル、RSパフォーマンス、そして今回は禁断の、そして新型RS3のトピックでもあるRSトルク・リアの存在も確認できた。

オートモードを選び、ピットを後にする。

コーナリングで発見 新たな表情

バケットシートやステアリング、ブレーキ等、新型RS3のタッチは他のRSモデルに匹敵するほど硬質で、特別なモデルに乗っている感じがひしひしと伝わってくる。

パワーの盛り上がりと回転の伸びがシンクロした5気筒ターボの個性も健在。7000rpmのリミットに突き刺さるように回る。

従来のクワトロは狙ったラインをスロットルワークだけで狙うような芸当が得意とは言えなかった。新型はスロットル開け気味でタイトコーナーにアプローチしてもほとんどプッシュアンダーが感じられい。
従来のクワトロは狙ったラインをスロットルワークだけで狙うような芸当が得意とは言えなかった。新型はスロットル開け気味でタイトコーナーにアプローチしてもほとんどプッシュアンダーが感じられい。

最初から積極的に攻めてみてわかったのは、先代のRS3よりも身のこなしが軽快で、広がったフロントトレッドのおかげもあって「良く曲がる」ということ。

アウディのクワトロ(4駆モデル)は、例えば4駆のBMW等と比べるとスタビリティが明らかに高い。

そのためサーキットを走る場合、狙ったラインをスロットルワークだけで狙うような芸当が得意とは言えない。

だが新型RS3はハナの入りが鋭いので、スロットルを開け気味にしてセクター3のタイトコーナーにアプローチしてもほとんどプッシュアンダーが感じられなかった。

リアタイヤの力強い駆動によってコーナーを小回りしていく感じ。おそらくこれが、RSトルクリア・モードで実現するドリフトにも通じるトルクベクタリングの恩恵なのだろう。

新型RS3セダンは「安定上等のアウディ」の殻をメカニカルな手法により破ってみせた意欲作といえる。

思う存分試乗できる日が今から待ち遠しい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事