ホンダNSXとの惜別 NA1とNA2、NC1 和製スーパーカー3世代を比較 後編

公開 : 2021.12.25 07:07

2022年に生産終了を迎える予定のホンダNSX。英国編集部が評価を再び高める初代とともに、別れを惜しみました。

別次元の動的能力を獲得した2代目

ホンダNSXらしく2代目でも、見た目だけでなく走行性能で欧州製スーパーカーへ対峙することが目指された。日本車として、信頼性と実用性も両立させていたことは、いうまでもない。

2016年に北米で販売が始まったNC1型、2代目NSXの英国価格は約15万ポンド。金額でも、新しいNSXは欧州のスーパーカーに伍することとなった。

ホンダNSX レッドの初代NA1型とイエローのNA2型、レッドの2代目NC1型 タイプRとRも
ホンダNSX レッドの初代NA1型とイエローのNA2型、レッドの2代目NC1型 タイプRとRも

スペースフレームには、先進的な複合素材を採用。ボディの中心に、最高出力507psを発揮するドライサンプの3493ccツインターボV6エンジンを搭載した。しかし、初代のようにVTECは組み込まれていない。

そのかわり、3基の電気モーターがエンジンをアシストする。48psのモーターがエンジンと結合され、スターターモーターとフライホイールに当たる機能を担当。フロント側には37psのモーターが2基載り、フロントタイヤをそれぞれ駆動させる。

その結果、システム総合での最高出力は581psと、現代のスーパーカーらしい数字を達成。複雑なシステムの影響で車重は1725kgと軽くはないが、0-97km/h加速は2.9秒、最高速度は307km/hを誇る。

3基の電気モーターが叶える四輪駆動システムのおかげで、スタビリティは極めて高く、同価格帯のどのモデルより高速でのコーナーリングを可能としている。NSXを軽く感じさせるように。

初代NSXと比較すると、2代目NSXの加速力や現実世界での動的能力は別次元。たとえNA2型の最もホットな仕様を持ってきても、太刀打ちできないだろう。

意外にも初代と共通する部分が多い

アクセルペダルを踏み倒し、すべてのモーターとエンジンが協働して動く状況では、この世のものとは思えないほどに速い。ハイブリッドらしからず、テストコースでの全開走行時には爆音も響かせる。

パドックで走りを傍観していると、その音響に思わず鳥肌が立ってしまう。そんな興奮に魅了されたピーター・ブキャナン氏は、2017年に2代目NSXを自身のガレージへ迎え入れた。グラシック・ジャガーを楽しむ、家族持ちでありながら。

ホンダNSX(2代目NC1型/2016年〜/英国仕様)
ホンダNSX(2代目NC1型/2016年〜/英国仕様)

これまで約5600kmをNSXとともにした、ブキャナンが印象に触れる。「最初のドライブで、NSXのパフォーマンスに圧倒されたことは今でも忘れません。加速力やコーナリングは、信じられないほど」

「グッドウッド・サーキットへ、日曜日にドライブするのが楽しみの1つです。わたしの五感を、生き返らせてくれます。購入に至った動機は少し気まぐれなところもありましたが、今ではコレクションとして大切な1台。想像以上のクルマですね」

初代NSXと2代目との間には、四半世紀以上の時間のギャップがある。搭載する技術的な内容にも大きな違いがある。だが、実際に並べてみると共通する部分が少なくないことにも驚かされる。

どちらも技術の集大成といえるクルマであり、フェイスリフトを経ることで、その時代のライバルモデルに対抗できる内容を維持し続けてきた。2台ともにデジタルな技術とアナログな感覚との、素晴らしいブレンドで成り立っている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・マクレマン

    Greg Macleman

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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