ピニンファリーナ・バッティスタへ試乗 4モーターで1902ps 0-300km/h 12秒 前編

公開 : 2021.12.15 08:25

カロッツエリアとして名を馳せたブランドが、純EVハイパーカーを発表。英国編集部が公道で評価しました。

0-100km/hは2秒以下、0-300km/hも12秒以下

クルマを停めたのは、イタリア北部に位置する、伝説的なドライバーの名を冠したタツィオ・ヌボラーリ・サーキット。マシンを簡単にチェックし、ピニンファリーナ・バッティスタが最も過激なフュリオザ・モードになっていることを確認する。

イタリア語で激怒を意味するこのモードを選ぶと、ダッシュボードのタッチモニターに1400kWのパワーが利用できると表示された。従来的な単位でいうと、1902psだ。

ピニンファリーナ・バッティスタ(欧州仕様)
ピニンファリーナ・バッティスタ(欧州仕様)

一呼吸おいて、おもむろにアクセルペダルを踏み込む。興奮から生まれる笑いをこらえきれない。あっという間にブレーキングポイントが迫る。

この純EVのハイパーカーは、直線番長的なクルマではない。だとしても、0-100km/hを2秒以下、0-300km/hを12秒以下で加速する性能は、タダモノではない。

ピニンファリーナ社がバッティスタを発表したことで、伝統あるイタリアン・カロッツエリアは、自動車メーカーと呼ばれることになった。これまで何台もの美しいスタイリングを手掛けてきたが、自動車自体を作ったのは、これが初めてだ。

バッティスタは、自動車事業を展開するインドのマヒンドラ社傘下にある、ピニンファリーナ社が立ち上げた新ブランド、アウトモビリ・ピニンファリーナ社のモデル。スタートアップ時のスタッフは6名だった。

現在でも、スタッフは125名しかいないという。世界的な成功を得るのに、充分なスタッフということなのだろう。少なくとも、バッティスタが美しい作品の1つとして数えられることは、間違いなさそうだが。

リマック社の技術によるクワッドモーター

1900馬力のハイパーカーと聞いて、別の例を思い浮かべる読者もいるかもしれない。それこそ、6名のスタッフからプロジェクトを進められた理由だといえる。

ピニンファリーナ社は、クロアチアに拠点を構える純EV開発のスペシャリスト、リマック社と契約を締結。ゼロから開発する必要性をなくしたのだ。

ピニンファリーナ・バッティスタ(欧州仕様)
ピニンファリーナ・バッティスタ(欧州仕様)

バッティスタは、カーボンファイバー製のモノコックを採用し、4基の駆動用モーターと120kWhの駆動用バッテリーを搭載する。四輪駆動だが、基本的には後輪が主体となってクルマを動かす。

世界初の純EVハイパー・グランドツアラーだと、ピニンファリーナ社は主張する。親戚関係にあるリマック・ネヴェーラは、サーキット寄りのハードコア・モデルだ。

グランドツアラーと名乗るなら、一般道との親和性が優れているべき。しなやかな乗り心地で、快適に走れる必要がある。1900馬力でも。

バッティスタのボディサイズは、ラ・フェラーリとほぼ同等。マクラーレンGTのように、荷室空間は潤沢とはいえない。コクピットの後ろに、グラスリッドで覆われたささやかな荷物置き場がある程度だ。

ボディもカーボン製で、織り目が美しい。低いフロアに2基並んだ、頑丈そうなシートに腰を下ろす。車内に身を置くと贅沢な気分になれる。カーボン製の大きなドアを、少し強めに閉める。

運転席からの視界は悪くない。リアガラスは小さいが、ドアミラー越しにリアウイングの端が見え、ボディ後端の位置が掴める。フロントガラス上部のリアミラーは、カメラ映像を映せる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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