11月の輸入車販売、3か月連続で前年比マイナス ミニは改良型に期待

公開 : 2021.12.07 19:47  更新 : 2021.12.07 20:00

11月のインポートカーの登録台数レポートです。減産・コロナ禍の影響で分析は難しいところ。しかし、その中でも流れを掴みつつあるブランドが存在します。

量販メーカーに打撃 マイチェンのミニは?

JAIA(日本自動車輸入組合)が12月6日に発表した11月の輸入乗用車登録台数は1万7506台で、前年同月比で76.8%という厳しい結果となってしまった。

世界的な半導体不足による自動車の減産が深刻な状況になっている。あわせて新型コロナウイルス感染症によるロックダウンなどで、サプライヤーからの部品供給が滞り生産遅延に拍車をかけている。

改良型のBMWミニ・クーパーS 3ドア。マルチトーン・ルーフ、ホワイト・ボンネット・ストライプなど、外観のオプションが豊富。好みのルックスを手に入れられるのも人気のポイント。
改良型のBMWミニ・クーパーS 3ドア。マルチトーン・ルーフ、ホワイト・ボンネット・ストライプなど、外観のオプションが豊富。好みのルックスを手に入れられるのも人気のポイント。    宮澤佳久

ちなみに3月から続いた回復基調が、初めてマイナスに転じた9月は、前年同月比で85.2%という結果だった。それが、10月は同68.0%まで落ち込んだ。11月はやや盛り返したものの、まだまだ厳しい状況といえる。

なかでも量販メーカーが大きく登録台数を減らしたことが効いている。メルセデス・ベンツを例に挙げると昨年11月は5640台だったものが、今年は3242台に留まる。

メルセデス・ベンツ日本は、ウェブサイトで新型Cクラスの生産遅延に関するお詫びを告知するほどの事態に。ディーラーによれば今契約しても納車は2022年初夏になりそうだという。

日本でもトヨタは生産遅延を発表しており、量産モデルで納車まで2~4か月必要になる。ホンダもモデルにより納期が2か月から1年先とアナウンスされている。

11月の結果を見るとトップ10のオーダーが大きく変わっていることに気づく。

実は10月にも大きく動いたのだが、日本でのストック数が結果を左右したようだ。また、混乱のなか主力車種のフェイスリフトを実施したミニが順位をアップさせている。

11月のトップ10 シボレー/キャデラックは堅調

輸入車の王者といえるメルセデス・ベンツは、台数こそ減らしているが首位を堅持。2位にはBMWが返り咲き、フォルクスワーゲンは3位に。

4位が定位置だったアウディは6位に転落。

半導体ショックに市場が揺れる中、シボレーブランドは77台を登録。1月からの累計は675台に。昨年同期の倍以上の結果を残している。
半導体ショックに市場が揺れる中、シボレーブランドは77台を登録。1月からの累計は675台に。昨年同期の倍以上の結果を残している。    GMジャパン

代わって、前述のように改良新型の投入がセールスに結びついたミニが、前年比はマイナスながら4位に浮上(前月は7位)し、回復への足場を固めつつある。ボルボは前月から1つポジションを上げた5位に。

ジープは5位から7位に後退し、プジョーポルシェの順で続く。10位は、ルノーフィアットが同台数という珍しい結果となった。

ちなみにトップ10のメーカーで、前年同月比でプラスとなったのはボルボ、ポルシェ、ルノーだけ。

一方オーダーから納車まで時間のかかるフェラーリベントレーアルピナマセラティなどのスペシャリティクラスは、少量生産ということもあり半導体不足の影響は僅かだ。

また、新型コルベットの投入で好調なセールスを続けているシボレーは、11月も前年同月比で334.8%をマークし、キャデラックも同212.1%とGM勢が健闘している。

11月の輸入乗用車登録台数トップ10を数字でご覧いただこう。カッコ内は前年同月比。その脇に前月のポジションからの変動幅を付記した。

1位 メルセデス・ベンツ:3242台(57.5%)
2位 BMW:2459台(69.5%)+1
3位 フォルクスワーゲン:2377台(95.2%)-1
4位 BMWミニ:1556台(84.8%)+3
5位 ボルボ:1283台(102.6%)+1
6位 アウディ:1243台(62.0%)-2
7位 ジープ:1010台(79.4%)-2
8位 プジョー:761台(58.2%)+2
9位 ポルシェ:480台(103.7%)+2
10位 フィアット:396台(80.0%)-2
10位 ルノー:396台(107.0%)-1

この結果を見ると、それぞれのモデルの実力よりも、日本でのストック数が登録台数を左右したといえる。

また、新車の納期が長引いていることから、すぐ手に入る高年式の中古車が人気を集めており、相場も上昇傾向にあるという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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