ゼロ・エミッションの宅配ピザ? EV活用で持続可能性を掲げる英国企業に密着

公開 : 2021.12.09 18:05

環境への配慮を謳うビジネスが増えていますが、上手くいくのでしょうか。電動化を進める英国で取材しました。

持続可能性に配慮したピザ配達

出来立てのピザを玄関まで届けてくれること以上に素晴らしいものはない。しかし、ピザを運ぶクルマがEVかどうか、またはピザ屋が環境に配慮しているかどうかを気にかけたことはあるだろうか?クルマの電動化を推し進める英国では、ピザ屋と顧客の意識も変わりつつあるようだ。

英国で宅配ピザを手掛ける「Birtelli’s」は、持続可能性に配慮したデリバリーを目指して設立された会社で、現在はレミントン・スパとウォリックで事業を展開している。多くの食材を地元で調達するほか、梱包材をすべて堆肥化したり、CO2排出量が少ない(またはゼロの)車両を使用するなど、環境への総合的なアプローチに重点を置いていることで知られている。

Birtelli'sが運用しているシトロエン・ベルランゴのEV仕様
Birtelli'sが運用しているシトロエンベルランゴのEV仕様

同社で使用している電動バンについて、共同設立者のジム・ビリヤ氏は次のように語る。

「このバンは、主にセントラルキッチンとデポから店舗まで、調理済みの食材や在庫を運ぶのに使われています。この用途では非常に理想的で、週に一度しか充電しないこともあります」

「公称航続距離が170kmというのは大したことないと思われるかもしれませんし、冬場は確かに不利ですが、わたし達には必要十分です」

計画性があればEVは運用できる?

ビリヤ氏によると、このバンが最も充電切れに近い状態になったのは、他の車両を支援するために呼び出されたときだという。しかし、そのような緊急事態であっても、失望させることはなかったと彼は指摘する。

「一度、配送業者が来なかったことがありました。そのときは、配送拠点に確実に送るために、荷台とキャビンの一部を自家製ピザでいっぱいにしなければなりませんでした。往復で約80km、しかも満充電ではありません。ベースに戻る最後の数kmで充電切れと表示されていたため、白髪が増えそうなくらい焦りましたが、なんとか仕事を終えました」

Birtelli'sのピザ
Birtelli'sのピザ

これからEVへの乗り換えを検討している人に対するアドバイスはあるかと尋ねると、彼は「不便ではありません……事前に計画を立てていればね」と答えた。

「もちろん、ガソリン車やディーゼル車のように、ほぼ燃料が空の状態で乗り込んですぐに給油できるような手軽さはありませんが、計画的に電力を補給しておけば、どんなことでもできるようになります」

「もっと遠くのサプライヤーに行くためには、正直言ってエンジン付きのクルマを借りなければなりませんでした。稀なことですが、計画を立てればそれほど面倒ではありません。たまにしかしない長距離移動を少しでも楽にするために、いつもエンジン車で走り回るよりは、そちらの方がいいですね」

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事