新型 スズキSクロスへ英国試乗 骨格は先代と同じ 好印象な乗り心地

公開 : 2021.12.19 08:25

スズキのクロスオーバーが3代目へ一新。車内の古さは隠せないものの、好印象な乗り心地を英国編集部は評価します。

基本的な骨格やサイズは先代と同じ

フェイスリフトとは、どこまでを指すべきなのだろう。フェラーリF8 トリブートは、488のフェイスリフト版ではないといえる。そのフェラーリ488も、458 イタリアのフェイスリフト版だと見られることはないだろう。

だが実際のところ、基本的な構造やプロポーションは共通している。インテリアまわりも同様だ。

スズキSクロス 1.4ブースタージェット・マイルドハイブリッド・ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)
スズキSクロス 1.4ブースタージェット・マイルドハイブリッド・ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)

では、この新しいスズキSクロスはどうだろうか。SX4時代から数えると、3代目となるモデルだ。

一見すると、かなり新しく見える。フロントマスクは別物だし、ボンネットのラインも高い。全体のスタイリングもエッジが効いていて、LEDヘッドライトがシャープだ。サイドウインドウ後端の形状も異なる。

テールライトのデザインも2021年的で、先代の面影はないと感じられる。しかしパネル類の主要な接合位置など、ハードポイントと呼ばれる部分が、実は同じ。ボディサイズも変わっていない。

基本的な構造がそのままだという事実は、車内を見ればより明確。ダッシュボードはソフト加工が施され、新しいインフォテインメント用モニターが与えられているものの、それ以外は2013年に発表された先代のSX4 Sクロスと明確な違いはない。

台数が少なく、丁寧な仕立てが施されるスーパーカーのフェラーリなら良いかもしれない。2022年以降の厳しい競争に、新しいSクロスは耐えることができるだろうか。

充実した装備に魅力的な価格設定

追加された車内装備で挙げるべきは、アップル・カープレイとアンドロイド・オートに無線で対応したインフォテインメント・システムだろう。タッチモニターは7.0インチか9.0インチが設定される。

システムとしてはベーシックなもので、レスポンスが良いというわけではない。でも、強く不満を感じるほどではないだろう。

スズキSクロス 1.4ブースタージェット・マイルドハイブリッド・ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)
スズキSクロス 1.4ブースタージェット・マイルドハイブリッド・ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)

メーターパネルは、中央に小さなモニターが埋め込まれたアナログタイプ。車内を見渡すと、プラスティック製であることを隠さない部分が多い。

スズキは、このSクロスのライバルを日産キャシュカイセアトアテカに設定しているが、車内の雰囲気を知ってしまうと少々の高望み感が否めない。とはいえ、価格設定は魅力的だ。

英国でのエントリーグレードとなるモーションで、2万4999ポンド(約379万円)から。包括的な運転支援システムに加えて、LEDヘッドライトに2ゾーン・エアコン、シートヒーターとキーレスエントリーなどが付いており、装備は充実している。

ルノーアルカナなら、オプションとなるものも含まれている。一方で、運転支援システムに多少の妥協を許せるなら、ダチア・ダスターという強敵が欧州にはいる。

英国価格2万9799ポンド(約452万円)のウルトラ・グレードでは、スズキがオールグリップと呼ぶ四輪駆動と、ひと回り大きなタッチモニターを獲得。レザーシートにサンルーフ、駐車時の360度カメラなども装備される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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