2021年の最高を選出 シンプルなケータハム 見事な統合のフェラーリ BBDC 2021(3)
公開 : 2021.12.31 05:45
一貫性の高い操縦性のヴァンテージ
グリップ力はランボルギーニだけでなく、ポルシェやアストン マーティンも、いうまでもなく世界最高水準。サーキットでは見事なまでな操縦性のバランスと、ライン調整のしやすさを両立させていた。
面白いことに、この3台はそれぞれエンジンの搭載位置が異なる。ゆえにドライビング・スタイルも異なるのだが、互いにとても魅力的な体験を与えてくれた。
ウラカン STOで感心させられたのが、2014年のウラカン登場以来、驚くほど進化した動的能力。エンジニアの努力の積み重ねに違いない。
ヴァンテージ F1エディションも、アストン マーティンが施した特別仕様のシャシー・チューニングによって、素晴らしいドライバーズカーへと高められている。質量を見事に制御し、一貫性の高い操縦性を獲得。パワースライドも完璧といえるほど自在だ。
だが、ランボルギーニもアストン マーティンも、ポルシェ911 GT3の備える完全性には迫れなかったことも事実。ポルシェのドリフトアングルを問わないコーナリング、眼を見張るほどのクリップ力、正確で濃密なステアリングを超えてはいない。
ディスデイルは、「仰天するほど卓越しています。燃料タンクが空になるまで、サーキットを走っていたいと思わせます」。と表現。プライヤーは実際にガソリンが尽きるまで走り込み、「楽しく繊細で、愛おしい」。と笑顔で降りてきた。
AUTOCARを定期的にお読みいただいている方なら、911 GT3が2021年のBBDCトップ3にランクインしても驚かないだろう。評価の高さはいつものことだ。
忘れられない体験のミニ・リマスタード
クラシカルな見た目の、デビッド・ブラウン・ミニ・リマスタード・オセリ・エディションも、2021年のノミネート車両に選ばれた。レストモッド・モデルがBBDCに参加したことは過去になかったが、メーカーは初事例として快くクルマを提供してくれた。
小さなミニを1度運転すれば、忘れられない体験になる。エンジンはAシリーズと呼ばれるユニットで、ツインキャブレターの1450cc。空気の吸入と4本のシリンダーの燃焼が、素晴らしいサウンドを放つ。回転数は関係ない。
非常に個性的でもある。アイドリングは荒っぽいし、シフトフィールは曖昧。操縦性は、オリジナル・ミニのベストとはいえない。路面の起伏やワダチに敏感で、意図した位置を走らせ続けることも難しい。
コーナーでは、ボディロールに伴うオーバーステアも生じる。右旋回より、左旋回の方が顕著だった。ディスデイルは、「このミニをもっと好きになりたかった」。とつぶやいた。デビッド・ブラウンのチューニングには、まだ余地がありそうだ。
「路上での限界領域は、危険にすら感じました。左コーナーでは驚くほどテールが動きます。でも、右コーナーでは安定している。出口目掛けてパワーをかけて、オーバーステアに持ち込めるほど」
BBDCでの得点は伸び悩んだが、パワーやグリップが向上していたことは事実。クラシカルなミニの操縦性が現代化され、サーキットを許容できる能力を獲得している。
果たして上位3台に選ばれ、最終決戦に進むモデルは? この続きは(4)にて、経験豊かなフランケルにまとめていただこう。