ランドローバー・レンジローバー・スポーツHSEダイナミックD300試乗 ディーゼルの最後味わう

公開 : 2021.12.11 05:45

走りもスポーツ、唯一気になる点

乗り心地に関しても破綻がなかった。

エアサス特有のしっとりとした路面のタッチと、イギリス車らしいなめらかなハンドリングに、「これぞ高級SUV!」と唸らされる。

ランドローバー・レンジローバー・スポーツHSEダイナミックD300
ランドローバーレンジローバー・スポーツHSEダイナミックD300    宮澤佳久

だがレンジローバーの印象と比べると、スポーティな仕立てが浮き彫りになる。

レンジローバーはストロークしはじめに、往年のシトロエン的なフワフワ感が感じられ、それが極上の乗り心地とハンドリングの微かな曖昧さを生んでいる。

その点「スポーツ」は、コーナー内側の白線にタイヤのショルダーで軽く触れるような精度の高い走りを楽しむことができる。

エアサスの設定以外に、レンジローバー比で約6センチ低いボディや200kg近くも軽い車体が効いているはずだ。

唯一気になったのはインテリアだった。

外観もエンジンも乗り味も皆「スポーツ」しているのだが、室内の意匠はどっしりと腰が据わった感じで、それらしさが感じられなかった。

ジャガーFペイスのような、左右非対称センターコンソールは無理だとしても、低められたルーフラインに呼応する緊張感があっても良かったのでは? と今さらながらに思ってしまった。

試乗車のメインハイドは明るいベージュ革だったのだが、これを黒系にするだけでも印象がシャープになるような気がした。

スポーティなSUVにはライバルも多いが、腰を据えて長く付き合うのであればレンジローバー・スポーツのD300モデルが最も飽きがこないと思う。

とはいえエンジンの余命よりも前にフルモデルチェンジのときが来るはず。

残された時間はあまりない。

ランドローバー・レンジローバー・スポーツHSEダイナミックD300のスペック

全長:4855mm
全幅:1985mm
全高:1800mm
ホイールベース:2920mm
車両重量:2430kg
パワートレイン:直列4気筒 1984ccターボ
最高出力:300ps/4000rpm
最大トルク:66.3kg-m/1500-2500rpm+モーター
ギアボックス:オートマティック

ランドローバー・レンジローバー・スポーツHSEダイナミックD300
ランドローバー・レンジローバー・スポーツHSEダイナミックD300    宮澤佳久

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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