キャデラックXTSプラチナ

公開 : 2012.06.12 14:49  更新 : 2017.05.29 18:32

■どんなクルマ?

デトロイトが巨大なアメリカの高級車市場を支配していたのは既に過去のことである。事実、キャデラックと激しいライバル闘いをしていたリンカーンは、今や高級車市場では泡沫候補に成り下がった。

しかし、キャディは再びその高いポジションに戻ろうと熱心だ。新しいXTSは、BMW 5シリーズアウディA6のライバルとして登場したのだ。ゼネラル・モータースは、XTSを新しいフラッグシップだとし、高級車へのエントリー・モデルとして位置づけているのだ。

■どんな感じ?

少なくとも、新しいXTSはキャデラックというブランドの正しい方向を指し示しているようだ。優雅でエレガントというアート&サイエンス・デザイン・テーマに基づいたフォルムは、キャデラックCTSで一般向けに具現化されたもので、このXTSでは全盛期を思わせるルーフ・ラインやテール・フィンもモチーフに取り入れられている。そのキャビンのハンサムなことと快適性はアウディにも勝るとも劣らない。その対価に相応しい装備がされているとも言える。とりわけ、ガラスで構成されるクラスターは、魅力的だ。

また、キャデラックの新しいインフォテイメント・システムも特徴的な装備のひとつだ。iPhoneがステアリング・ホイールに乗っかっているように考えてもらればいいのだろうか、Siriのような音声制御システムを完備しているのだ。唯一、凸凹とした道になると操作しづらいというのが難点ではあるが。

XTSがフロント・ホイール・ドライブであることを、昔からのキャデラック・ファンは嘆くかもしれない。アウディと同等とまではいかないが、LAの郊外の狭く曲がりくねったワインディング・ロードで、その大きいボディ・サイズにもかかわらず良好なレスポンスを見せてくれた。

但し、0-60mphの性能などを加味すると、本当にBMWに対抗するだけの力はないかもしれない。特に、2速分のキックダウンが必要な場合など、6速オートマティックはスポーツモードであっても反応が遅く不満が残った。

■「買い」か?

XTSは古典的なアメリカン・ラグジュアリー・カーの再来としてとらえることができる。それは、決して気のない褒め方ではない。ソリッドで装備もよく、十分運転していて愉しいクルマだ。

但し、それはまだまだ世界標準にまでは追いついていない。しかし、長い間信頼性を失っていたブランドの復活劇としては十分な存在感を示したといえるだろう。

(ポール・アイゼンシュタイン)

キャデラックXTSプラチナ

価格 38,100ポンド(470万円)
最高速度 210km/h
0-100km/h加速 6.7秒
燃費 NA/l
Co2排出量 NA
乾燥重量 1950kg
エンジン 3.6リッターV6
最高出力 300bhp/6800rpm
最大トルク 36.5kg-m/5200rpm
ギアボックス 6速オートマティック

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